研究課題/領域番号 |
21K08675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 元伸 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90611749)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | EBV関連胃癌 / エピゲノム異常 / ARID1A遺伝子変異 / ARID1A遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
Epstein-Barr Virus(EBV)関連胃癌は他の胃癌と異なる特異的なゲノム・エピゲノム異常が蓄積しており、それらが癌の発生・進展に関与している。本研究では、EBV関連胃癌において特異的なエピゲノム異常に伴う発癌経路、特に胃癌のドライバー遺伝子であるARID1A遺伝子の発現制御機構の解明を試みる。上記が解明されることで、EBV関連胃癌の発生と進展の理解、さらには標的治療の開発に踏み出すことが出来る。
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研究実績の概要 |
EBV関連胃癌におけるDNAプロモーターメチル化の状態をパブリックデータベースであるGEO(Gene Expression Omnibus)に登録されたメチレーションアレイデータを用いて解析をおこなった。アレイデータと同じにダウンロードした臨床病理学的因子を合わせて解析をおこなった結果、EBV関連胃癌はEBV陰性胃癌と比べて非常に多くの遺伝子のプロモーターが高メチル化状態、つまり、遺伝子発現がなされていない状態であることがわかった。実際に細胞実験で検討したところ、EBV感染陽性MKN7胃癌細胞は非感染コントロール細胞と比べて、高メチル化状態であることが確認された。これらの結果から、EBV感染自体が細胞内の数多くの遺伝子のプロモーター高メチル化を促すことが確認され、EBV関連胃癌のエピゲノム異常の特徴を捉えることができた。次に、これらの解析データから胃癌のドライバー遺伝子であるARID1A遺伝子に着目したところ、EBV関連胃癌とEBV感染陽性胃癌細胞株においてARID1Aプロモーターは高メチル化されてないことがわかった。同じサンプルにおける、ARID1A mRNAの発現解析をマイクロアレイ(GSE31787)でおこなうと、EBV感染に伴うARID1A mRNA発現の影響は認められなかった。つまり、EBV関連胃癌におけるARID1Aタンパクの発現低下は、ARID1A遺伝子の転写の段階ではなく、翻訳後の段階でおこることがわかった。そのため、EBV関連胃癌の特異的なエピジェネティク異常に関与するEBVマイクロRNAに着目した。ARID1Aの3'UTR領域に特異的に結合しうるEBVマイクロRNAをデータベースにて検索し、その同定されたEBVマイクロRNAを実際の細胞実験に用いてARID1A発現の低下の有無について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に用いるマイクロアレイデータをGEOデータベースからダウンロードして、EBV関連胃癌におけるDNAメチル化状態の解析ができた。また、EBV関連胃癌における遺伝子発現のマイクロアレイもGEOデータベースからダウンロードして、メチル化データと合わせての解析をおこなえた。EBV胃癌に特徴的なエピジェネティクスの因子であるEBVマイクロRNAを用いての細胞実験においてはARID1A発現が制御されることを確認した。関連解析において、このEBVマイクロRNAはARID1A発現を低下させると同時に、PD-L1発現を上昇させることが明らかとなった。この結果は非常に興味深いものであるため、その機序の解明のために更なる実験系をくむことにした。
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今後の研究の推進方策 |
関連解析において明らかとなった、ARID1A発現を低下させるEBVマイクロRNAがPD-L1発現を誘導する機序の解明をおこなう。
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