研究課題
基盤研究(C)
近年の新薬開発費用の高騰を受けるように、ドラッグリポジショニング(既存薬再開発)への注目が高まっている。本研究では、日米(熊本大学消化器外科学・Brigham and Women’s Hospital, USA)の消化器癌データベースを対象に、がん代謝・腫瘍免疫・マイクロバイオームを標的とした新規治療法・癌予防法をドラッグリポジショニング(Drug repositioning, 既存薬再開発)により開発することである。更にin vitroによる機能解析を行う事で、治療薬ががん代謝、腫瘍免疫、マイクロバイオームに与える機序を解明する。
消化器癌においてマイクロバイオームは癌進展に寄与する可能性があり、食道癌において腫瘍内F. nucleatum が腫瘍周囲へのリンパ球浸潤peritumoral lymphocytic reactionと逆相関を占めすことを明らかにし、Br J Cancerに報告した。一方、食道癌診療では免疫チェックポイント阻害薬(Immune checkpoint inhibitors, ICIs)が進行・再発食道癌に対する標準治療として承認されている。当科での食道癌ICIs施行例における体組成(BMI、腹囲、内臓脂肪、皮下脂肪)の臨床学的意義を検討し、Nivolumab療法施行例およびFP+Pembrolizumab療法施行例において、ICI療法前腹囲が治療効果と有意に相関する事を明らかにし、Ann Surg Oncolに報告した。進行再発食道癌Nivolumab単剤療法施行例(N=73)を対象に、酪酸菌製剤の内服群・非内服群、またはCOX-2阻害薬の内服群・非内服群に分類し,長期予後との関連を後ろ向きに比較検討した。男性61例:女性12例、年齢中央値:66歳、切除不能49例・再発24例、PS(0:1:2=59例:7例:7例)、酪酸菌製剤(内服:非内服=36例:37例)、COX-2阻害薬(内服:非内服=6例:67例)だった。全症例での無増悪生存期間(PFS)の中央値:89日、無増悪生存率(6か月:12か月=25.2%:16.2%)、全生存期間(OS)の中央値:285日、全生存率(6か月:12か月=71.4%:41.4%)だった。酪酸菌製剤について、内服群と非内服群の二群間にPFS(p=0.84)、OS(p=0.56)の有意差は認めなかった。また、COX-2阻害薬についても、内服群と非内服群の二群間にPFS(p=0.62)、OS(p=0.94)の有意差は認めなかった。
すべて 2024 2023 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
Annals of Surgical Oncology
巻: Published online 号: 6 ページ: 3839-3849
10.1245/s10434-024-15093-3
British Journal of Cancer
巻: 128 号: 6 ページ: 1155-1165
10.1038/s41416-022-02112-x
Annals of Surgery
巻: 274 号: 6 ページ: e905-e906
10.1097/sla.0000000000004942
Clinical and Translational Gastroenterology
巻: 12 号: 8 ページ: e00338-e00338
10.14309/ctg.0000000000000338