研究課題
基盤研究(C)
近年の新薬開発費用の高騰を受けるように、ドラッグリポジショニング(既存薬再開発)への注目が高まっている。本研究では、日米(熊本大学消化器外科学・Brigham and Women’s Hospital, USA)の消化器癌データベースを対象に、がん代謝・腫瘍免疫・マイクロバイオームを標的とした新規治療法・癌予防法をドラッグリポジショニング(Drug repositioning, 既存薬再開発)により開発することである。更にin vitroによる機能解析を行う事で、治療薬ががん代謝、腫瘍免疫、マイクロバイオームに与える機序を解明する。
食道癌において腫瘍内Fusobacterium nucleatum が腫瘍周囲へのリンパ球浸潤と逆相関を示す事を報告した(Br J Cancer 2023)。進行・再発食道癌免疫チェックポイント阻害薬(Immune checkpoint inhibitor, ICI)施行例において、ICI療法前腹囲が治療効果と有意に相関する事を報告した(Ann Surg Oncol 2024)。進行再発食道癌ICI単剤療法施行例(N=73)を対象に、酪酸菌製剤およびCOX-2阻害薬の内服群による長期予後への影響を検討したが、少数例のためか有意な結果は認めなかった。
食道癌において腫瘍内Fusobacterium nucleatum が宿主の腫瘍免疫抑制に寄与する可能性を示した。抗生物質による腸内細菌変化が免疫低下の改善に寄与することが期待できる。進行・再発食道癌において、治療前の栄養状態が治療効果に寄与する可能性が示唆されたため、治療前の栄養状態改善が治療効果促進に寄与する事が期待できる。酪酸菌製剤およびCOX-2阻害薬の内服による長期予後への影響は本研究では検討不十分の可能性があるため、今後症例数を増やし再検討する必要がある。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
Annals of Surgical Oncology
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