研究課題
基盤研究(C)
消化器癌では免疫チェックポイント阻害剤の効果が限定的である。本研究では、宿主の腫瘍抗原認識を高めるために、癌変異に由来するネオアンチゲン並びにnon-coding領域由来ペプチドを同定する方法を確立する。独自の人工知能技術を応用した「能動学習型ペプチド配列予測システム」を用いてHLAに高い結合能を有するネオアンチゲン由来ペプチドを予測する。また、未知のnon-coding RNA由来ペプチドを同定する。さらに、LC-MS/MSを用いて実際に腫瘍に提示されたClass Iペプチドをリストアップすることで、抗原ペプチド予測の精度を高める。本研究により、斬新な複合免疫療法を確立する。
消化器癌では免疫チェックポイント阻害剤の効果が限定的である。その原因として癌微小環境における抑制性免疫と腫瘍の抗原性の低さが挙げられる。本研究では、癌変異に由来するネオアンチゲン由来ペプチドを同定する方法を確立する。コーディング領域RNA由来ネオアンチゲンの同定のために、エクソン領域のアミノ酸変異を伴う遺伝子変異のうちRNAシークエンスにより遺伝子発現が高いタンパクに絞り、HLA結合能予測システムにより高いClass I結合能を持つネオアンチゲンペプチド候補を選択した。大腸癌6例についてのELISpot assayの結果、高TMB大腸癌症例では、低TMB大腸癌症例における平均スポット数の約4.2倍の平均スポット数が示された。また、低TMB症例平均スポット数に対して10倍以上のスポット数を示すペプチドが高TMB症例より2つ得られた。TMB-high症例は転移性大腸癌であったことから、NGS解析により原発・転移巣での比較を行った。その結果、約7割は共通のmutationであり、約3割が原発巣でのみ確認され転移巣では消失していた。転移巣でのみ新しく確認された変異は僅か3%程度であった。ELISpot assayの結果、commonに位置したpeptidesは何れもspot数がカットオフ以下であった。著明なspot数を示したneoantigen peptideは原発巣でのみ見られ、肝転移巣からは検出されなかった。また、高い免疫原性を示したペプチドはHLA-A24トランスジェニックマウスを用いた系でもELISpotアッセイから高い免疫原性を示した。蛍光標識MHC/peptide complex tetramerを作製し、患者PBMCにおけるペプチド特異的TCR陽性細胞の検出を試みた所、ELISpot highペプチドtetramerでも陽性が確認された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (34件) (うち招待講演 3件)
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