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AIを用いた血中癌細胞識別による食道癌化学療法効果予測アルゴリズムの確立

研究課題

研究課題/領域番号 21K08729
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分55020:消化器外科学関連
研究機関富山大学

研究代表者

奥村 知之  富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 特命教授 (10533523)

研究分担者 寺林 賢司  富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (20509161)
藤井 努  富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60566967)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード血液循環腫瘍細胞 / リキッドバイオプシー / CTC / AI / 画像解析 / 食道癌 / 血液循環癌細胞 / 人工知能
研究開始時の研究の概要

血液循環癌細胞(CTC)は転移細胞を含むと同時に原発巣の悪性度に関わる情報を有している。近年はCTCのなかでも癌幹細胞マーカーを発現した細胞の検出が重要とされているが、複数のマーカーを用いたCTC検出にむけた簡便かつ高精度な手法の開発が望まれている。近年の人工知能(AI)研究における次世代画像認識機能として畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が注目されている。CNNでは機械学習による高い分類精度を得ることができる。本研究では食道癌症例の血液からCTCを捕捉し、細胞表面マーカーに対する多重蛍光染色画像を取得し、CNNを用いた画像解析によって化学療法感受性を識別するAIアルゴリズムを確立する。

研究実績の概要

食道癌細胞株を用いた条件設定に基づき、さらに高精度のCTC検出法を確立するため、高解像度画像スキャニングを取り入れた。DAPI陽性領域を切り出し光学的ノイズをAIで除去し、大量の細胞を輝度別にマッピングすることでCTCを同定することが可能となった。
前年度に行った食道癌10例の結果をもとに、臨床病理学的因子との関連の検証を進めた。高解像度イメージングスキャンを取り入れたCTC識別アルゴリズムの構築に向けて、膵癌患者38人と健常対照者17人から末梢血を採取し、CD45発現による陰性濃縮ののちEpCAM-PE染色し10,000枚の画像を取得した。細胞画像と非細胞画像を含むアノテーション・ライブラリを用いて機械学習を行い、健常対照者300枚の画像セットを用いて95%の細胞を含むよう輝度閾値を設定した。ROC曲線とAUC解析を行い、癌患者と健常対照者を感度0.74、特異度0.76で識別することができた。
ヒト癌細胞を用いたマウスCTCバイオアッセイモデルの確立:ヌードマウス胃にヒト胃癌細胞株MKN45を移植し36匹中30匹(83.3%)で胃壁内腫瘍の形成を確認した。胃壁内腫瘍はヒト特異的EMA染色にてヒト由来細胞であることを確認した。これらのマウスから血液を採取し、密度勾配遠心法およびCD45陰性濃縮によって細胞を分離し、ヒト特異的EpCAMに対する蛍光染色にてCTCを検出した。30匹中24匹(80.0%)から平均12.5/mlのEpCAM陽性細胞を検出した。24匹中10匹(41.7%)で肝転移を認めた。肝転移マウスおよび非肝転移マウスにおけるEpCAM陽性細胞数(/ml、平均±SD)はそれぞれ13.4±12.9および12.5±12.4と有意差を認めなかった。これらより、EpCAM発現のみではCTC中の転移責任フラクションの同定が不十分である可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

食道癌細胞株KYSEを用いてCTC捕捉条件を最適化し、また画像撮影の際のサンプル量、露光時間の設定、EpCAMの輝度による背景処理の最適化などに予定以上に時間を要しつつも、各条件の最適化によって安定した画像取得と解析が可能となった。
患者血液を用いたCTC捕捉について、食道癌症例の血液を採取しCTC検出に成功したが、さらなるデータ解析においては、当科にて症例数が多く、また術前化学療法データの揃っている膵癌症例を対象とした研究を開始した。
ヒト食道癌細胞株を用いたマウスCTCモデルの作成については、富山大学動物実験委員会の承認を得て実験を進めたが、マウスへの生着率、EpCAM発現に基づくCTC検出が不安定であったため、ヒト胃癌細胞株MKN45を用いることにより、安定した実験系を確立することができた。
以上より当初の予定以上に時間を要しているものの、研究の方向性が確定し、着実にデータ集積を進めている。

今後の研究の推進方策

1.食道癌細胞株を用いたAI画像解析による癌幹細胞識別アルゴリズム作成:高解像度イメージングスキャンとAIを組み合わせた癌幹細胞識別アルゴリズムの作成を進める。
2.患者血液を用いたCTC捕捉とAI解析による癌幹細胞識別アルゴリズムの確立:膵癌症例、食道癌症例を対象としたCTC検出と画像データの蓄積を進め、高解像度イメージングスキャンとAIを組み合わせた癌幹細胞識別アルゴリズムを用いて臨床病期および化学療法効果判定との相関を検証する。
3. ヒト癌細胞を用いたマウスCTCバイオアッセイモデルの確立:胃癌細胞株を用いて、EpCAMに加えて、CSVなど間葉系マーカーを組合わせたCTC検出を行い、肝転移の有無と相関するCTCフラクションの同定を進める。また、上記の高解像度イメージングスキャンとAIを組み合わせた癌幹細胞識別アルゴリズムを用いた解析をマウスモデルに応用する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] The use of an artificial intelligence algorithm for circulating tumor cell detection in patients with esophageal cancer.2023

    • 著者名/発表者名
      Akashi T, Okumura T, Terabayashi K, Yoshino Y, Tanaka H, Yamazaki T, Numata Y, Fukuda T, Manabe T, Baba H, Miwa T, Watanabe T, Hirano K, Igarashi T, Sekine S, Hashimoto I, Shibuya K, Hojo S, Yoshioka I, Matsui K, Yamada A, Sasaki T, Fujii T.
    • 雑誌名

      Oncol Lett

      巻: 26 号: 1 ページ: 320-320

    • DOI

      10.3892/ol.2023.13906

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] An artificial intelligence algorithm for detection of circulating tumor cells in patients with esophageal cancer2023

    • 著者名/発表者名
      T Okumura, T Akashi, K Terabayashi, H Tanaka, T Yamazaki, Y Numata, T Manabe, T Miwa, T Watanabe, K Hirano, I Hashimoto, K Shibuya, I Yoshioka, A Yamada, T Sasaki, T Fujii
    • 学会等名
      The 19th ISDE World Congress for Esophageal Diseases
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 膵癌患者におけるCTCの検出と臨床応用における課題2023

    • 著者名/発表者名
      真鍋高宏,奥村知之,明石尭久,沼田佳久,山崎豪孔,田中晴祥,橋本伊佐也,渋谷和人,藤井努
    • 学会等名
      第78回日本消化器外科学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 画像解析技術を用いたCTC同定法の未来像2023

    • 著者名/発表者名
      真鍋高宏,奥村知之,明石尭久,沼田佳久,山崎豪孔,田中晴祥,橋本伊佐也,渋谷和人,藤井努
    • 学会等名
      第34回日本消化器癌発生学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒト癌細胞株を用いたマウス血中循環腫瘍細胞バイオアッセイモデルの作成2022

    • 著者名/発表者名
      山崎豪孔、奥村知之、福田卓真、明石尭久、藤井努
    • 学会等名
      第77回日本消化器外科学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ヒト膵癌細胞株を用いたマウス血中循環腫瘍細胞バイオアッセイモデルの作成2022

    • 著者名/発表者名
      山崎豪孔、奥村知之、福田卓真、明石尭久、佐伯しおり、藤井努
    • 学会等名
      第60回 日本癌治療学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 消化器癌におけるCTCのAI解析2022

    • 著者名/発表者名
      真鍋 高宏、奥村知之、山崎豪孔、明石尭久、藤井努
    • 学会等名
      第6回CTC臨床応用研究会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒト癌細胞株を用いたマウス血中循環腫瘍細胞バイオアッセイモデルの作成2022

    • 著者名/発表者名
      山崎豪孔、奥村知之、福田卓真、明石尭久、藤井努
    • 学会等名
      第54回制癌剤適応研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 消化器癌幹細胞とCT2022

    • 著者名/発表者名
      奥村知之
    • 学会等名
      第5回CTC臨床応用研究会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] AIを利用した微分干渉画像に基づくCTC検出システムの開発2021

    • 著者名/発表者名
      奥村知之、寺林賢司、明石尭久、福田卓真、馬場逸人、渡辺徹、三輪武史、平野勝久、渋谷和人、北條荘三、松井恒志、吉岡伊作、藤井 努
    • 学会等名
      第121回日本外科学会定期学術集会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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