研究課題/領域番号 |
21K08745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
杉町 圭史 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他 部局等, 肝胆膵外科部長 (90452763)
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研究分担者 |
間野 洋平 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 肝胆膵外科医師 (10792244)
増田 隆明 九州大学, 大学病院, 准教授 (50463493)
荒木 啓充 九州大学, 経済学研究院, 助教 (60572823)
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 教授 (80363373)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肝細胞癌 / C型肝炎 / 転写因子 / エピゲノム / メチル化シークエンス / mRNAシークエンス / ウイルス学的著効 / 免疫微小環境 / ゲノミクス / 肝がん |
研究開始時の研究の概要 |
肝がんは予後不良の固形悪性腫瘍である。近年は抗ウイルス治療により発癌原因となるC型肝炎ウイルス(HCV)を消失させることが可能になった一方で肝炎治癒後に発生する肝がんが増加しており改めて肝発癌機序の根本的解明が求められている。近年、肝発癌機序に宿主肝の免疫環境の変化が関わっていることが示唆されてきたが詳細は未だに分かっていない。本研究の目的は、ゲノミクスによる腫瘍の免疫微小環境の解析によりC型肝炎治癒後に発生する肝がんの発癌機序を解明し、さらに肝がんに対する免疫療法の作用機序や治療効果予測に関するバイオマーカーを同定することである。
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研究実績の概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)治療後の肝癌発生の分子機序を解明することを目指して研究を実施した。全ゲノムメチル化シークエンスとRNAシークエンスを行って得られたデータをin silicoで統合的に解析し、発癌に関わる具体的な分子機序の同定を目指した。メチル化は転写因子機能に強く関連しており、また転写因子ががん幹細胞性に関連し発がんに強く関与しているため、最終年度は、特に転写因子とその下流標的遺伝子に着目して解析した。 本研究の成果をまとめる。HCV(C型肝炎)肝癌とSVR(C型肝炎治癒後)肝癌の臨床サンプルでメチロームシークエンスを行い、メチル化変動領域DMRを同定した。各症例をメチル化によってクラスタリングすると、癌部、非癌部はそれぞれ、正常肝組織より明瞭に区別されるが、HCV群とSVR群は明瞭には区別されないことが明らかとなった。癌部で70-90%、非癌部で50-70%のDMRがHCV肝癌とSVR肝癌で共通していた。つまりHCVが消失しても半数以上のメチル化変動領域は保持されていることが明らかになった。次に遺伝子発現をRNAシークエンスによって解析し、発現変動遺伝子DEGを同定し、統合解析によって、DMRかつDEGの遺伝子を同定した。さらに、肝癌培養細胞の強制脱メチル化を行い、RNAシークエンスで遺伝子発現の変化を解析した。 転写因子と標的遺伝子に絞り、臨床検体で得られたDMR-DEG遺伝子と、培養細胞で検出したメチル化によって発現が変化する遺伝子の両方に共通する15遺伝子を抽出した。さらに独立した2次コホートによって検証し、4つの転写因子と10の標的遺伝子が最終的に同定された。同定された14遺伝子のGene ontology解析を行い、特にアポトーシス経路と炎症反応の経路が発癌に強く相関していることを明らかにした。
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