研究課題/領域番号 |
21K08755
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
友近 忍 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30403679)
|
研究分担者 |
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
硲 彰一 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (50253159)
鈴木 伸明 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50526910)
吉田 晋 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (60554805)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 癌 / TCRレパトア / 大腸癌肝転移 / TCRレパト |
研究開始時の研究の概要 |
我々は大腸癌肝転移の術前化学療法の影響を病理学的に検討した結果、Cetuximab (Cmab)使用群では化学療法単独群に比較して癌局所にCD8陽性T細胞の著明な浸潤を認め、Cmab投与によりHot tumorが誘導される可能性が示唆された。化学療法前後の大腸癌肝転移巣の病理学的解析、並びに、次世代 シーケンサーを用いた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のTCRレパト解析により、治療前後のPBMCと TILのTCRレパトがどのように変化するかを観察して、Cmabが"Cold tumor"である大腸癌を"Hot tumor"に変えることができるかを検証する。
|
研究実績の概要 |
化学療法と抗EGFRまたは抗VEGFモノクローナル抗体 (mAb) の併用は、ステージ4大腸癌 (mCRC) 患者に対して広く用いられている。我々は以前に、抗EGFR mAbが大腸がん観点位相におけるTILの増加をもたらすと報告した。また、近年では免疫療法と抗VEGF mAbとの併用療法が肝がんなどで適応となっている。本研究では、CRCの肝転移におけるT細胞浸潤とそのT細胞受容体 (TCR) レパトアの変動に対するこれら抗体療法の影響を検討した。 化学療法と併用して抗EGFR mAb (n = 6) または抗VEGF mAb (n = 4) 療法を受けたmCRC患者を対象として、治療前後のPBMC及び肝転移巣生検または手術標本を得た。CD3及びCD8の免疫組織化学染色により腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) を評価した。治療後にCD3陽性TILを認めた症例を対象に、PBMC及び凍結腫瘍組織を用いてTCRレパトア解析を行った。 抗EGFRまたは抗VEGF mAbによる治療後のT細胞浸潤は、それぞれ約83%および50%であった。TCRレパトア解析の結果、抗VEGF mAb投与群では抗EGFR mAb投与群に比べ、TCR alphaおよびbeta(TRAおよびTRB)のクローナリティが高く、多様性が低かった。さらに、腫瘍浸潤T細胞と末梢血中のT細胞の共通TCRクローンの割合は、抗EGFR mAb群と比較して抗VEGF mAb群で有意に低かった。 結論として、大腸がん肝転移巣におけるTIL集団は、抗VEGF mAb群と抗EGFR mAb群では、数的にも質的にも異なることが示唆された。本研究によって、がん特異的T細胞浸潤が抗EGFR療法よりも抗VEGF療法によって誘導される可能性が示された。これらの知見が、今後のmCRCに対する併用療法をサポートすることが期待される。
|