研究課題/領域番号 |
21K08761
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
内山 和久 大阪医科薬科大学, 医学部, 名誉教授 (80232867)
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研究分担者 |
小村 和正 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (10789853)
谷口 高平 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70779686)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | PTBP1 / ワールブルグ効果 / microRNA / 膵癌 / 精巣腫瘍 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、癌特異的エネルギー代謝機構を司るPTBP1という遺伝子の制御システムをmicroRNAの観点から解明する。PTBP1標的miRNAsは、細胞のエネルギー代謝機構を調節し、正常状態における発現が、ある一定の組織に集中する特徴を有する。事前に公開データベースを用いて正常組織の発現分布に特徴を有し、機能が明らかになっていないmiRNAsおよび、検証の対象とする癌腫を選定した。本研究の遂行により、正常の生体内のエネルギー代謝機構と癌細胞が獲得する特異的エネルギー代謝機構が包括的に明らかになる。
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研究実績の概要 |
本研究では、申請者が以前に同定したmiRNAによるPTBP1を介した癌特異的エネルギー代謝機構の普遍性を調査している。特に、これまで脳・筋特異的に発現するmiRNAを研究していたが、新たに膵臓や精巣組織でPTBP1を標的とするmiRNAに焦点を当てている。 既存のデータセットの解析からmiRNA-Xは膵臓特異的に発現し、PTBP1を標的とすることを確認した。続いて申請者施設で施行された膵癌手術の臨床検体を癌部、非癌部ともに収集し、RNA、タンパクを抽出し、miRNA-Xおよび、PTBP1の発現解析を行った。RT-PCR法により癌部では非癌部に比べmiRNA-Xの発現が低下しており、Western blotting(WB)法により癌部では非癌部に比べPTBP1の発現が亢進していることが示された。また、データベースからmiRNA-Xの発現が比較的低い細胞株としてCapan-2、AsPC-1を選択し、細胞実験を進めた。ルシフェラーゼアッセイ法によりmiRNA-XはPTBP1の3´UTR領域を直接標的とし、その発現を抑制することが示された。両細胞株に対して、miRNA-Xの導入すると、顕著な細胞増殖の抑制が観察された。WBでは、miRNA-Xの導入群でPTBP1およびPKM2の発現が低下し、PKM1の発現は亢進していることが示された。さらにsiR-PTBP1を用いてPTBP1のノックダウン実験を行なった。miRNA-Xを導入した場合と同様に、顕著な細胞増殖の抑制とPKM2からPKM1への移行が確認された。以上の結果から、膵癌発癌過程におけるmiRNA-Xの脱制御は、がんにとって有利なエネルギー代謝獲得につながる可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵癌の臨床検体を用いた検証では、術前治療による腫瘍組織の線維化が頻繁に見られることから、RNAおよびタンパク質の抽出を行う部位の選定には特に注意深い検討が必要であり、適切なサンプルの選択には多くの時間が必要となった。この事項は、検体の品質に直接影響を与えるため、研究の進行において重要な課題の一つであり、時間を要したが研究に必要な検体数を収集することはできた。
一方、精巣腫瘍に関しては、臨床検体の収集に多大な努力を払っているものの、症例数が極めて限られているため、適切な検体の確保には非常に時間がかかっている。精巣腫瘍は発生頻度が低いため、研究に必要な検体を集めることが困難となっているため、先ずは、膵癌のデータを確実に出すことを念頭におき、研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
膵癌細胞株(Capan-2およびAsPC-1)にmiRNA-XまたはsiR-PTBP1を導入し、それらが細胞内でどのように機能するかを詳細に調査するため、培養後の細胞塊を回収しプロテオーム解析を行う予定である。この解析により、PTBP1と相互作用するタンパク質の変動を観察し、その発現や機能の変化を通じてPTBP1の生物学的役割をより深く理解することを目指す。現在の計画として、これまでに着目していたワールブルグ効果以外の現象に関与する分子の同定に努める予定である。
精巣腫瘍に関しては、現在のところ、症例数が非常に限定されているため、継続的に可能な限りの臨床検体の収集を行う計画である。
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