研究課題/領域番号 |
21K08776
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
牧野 知紀 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80528620)
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研究分担者 |
土岐 祐一郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20291445)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | イムノスコア / 三次リンパ様構造 / 食道癌 / 癌免疫微小環境 / 免疫モニタリング / 胃癌 / 腫瘍免疫応答 / がん免疫微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍宿主免疫応答におけるB細胞の役割は未知な部分が多い。B細胞はADCC活性や抗原提示細胞としてT細胞を介した抗腫瘍効果をもたらすされ、局所では腫瘍浸潤B細胞を中心に組織化した三次リンパ様構造が重要な抗腫瘍免疫を担う一方で、制御性B細胞の存在も注目を集める。このようにB細胞は抗腫瘍免疫の重要な一因であると同時に全身・局所でのがん免疫環境、腫瘍-宿主免疫応答をリアルタイムかつ鋭敏に反映している可能性がある。当研究では末梢血・腫瘍組織のT細胞に加えB細胞を経時的モニタリングすることで上部消化管がんに対するICIの宿主免疫応答および抗腫瘍効果機序を明らかにし、マーカー確立や治療標的の同定を目指す。
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研究実績の概要 |
研究計画のうち(A)がん局所の免疫モニタリングの内容としては、抗腫瘍効果の主役を担う腫瘍浸潤Tリンパ球(TIL)を定量化する客観的な評価法「Immunoscore」 (切除標本の免疫組織染色により腫瘍中心・辺縁部で各CD3、CD8陽性Tリンパ球陽性細胞数を測定しスコアを算出)に着目し、このImmunoscoreが術前無治療食道癌300例の予後および術前化学療法の治療効果予測に極めて有用である可能性が示唆された(Noma T, Makino T, et al. Ann Surg 2021)。さらに腫瘍辺縁に存在し主にB細胞を中心に構成される三次リンパ様構造(TLS)に着目し、その中でも成熟度の高度(secondary TLS)または中等度(primary TLS)のTLSが食道癌根治術を受けた316例の予後および免疫チェックポイント分子阻害薬(ICI)の治療効果予測における有用なバイオマーカーとなることを見出した(Hayashi Y, Makino T, et al. Br J Cancer 2023)。 一方で研究計画(B)の全身免疫モニタリングについては、食道癌ICI治療を受けた62症例の経時的な末梢血サンプルおいてがん抗原に対する自己抗体の網羅的測定を完了しており、現在は臨床データとの相互性を解析中である。また、同症例において免疫チェックポイント阻害剤(Nivolumab)投与前後でNivolumab(IgG4)が結合した末梢血TおよびB細胞の各表面マーカー発現解析では、Nivolumab投与1週間後にとくにPD-1+CD8細胞におけるCD103, Ki-67,LAG-3といった各分子発現が有意に上昇することを確認した。現在は治療効果・予後を含めた臨床データとの関連性の解析をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
とくに末梢血を用いた全身免疫モニタリングにおける計画課題の進捗についてやや遅延がある。これはフローサイトメトリー(FACS)での評価のための条件セッティングに予想外に時間を要したためである。
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今後の研究の推進方策 |
末梢血を用いた全身免疫モニタリングの研究計画にエフォートを費やす方針である。末梢血におけるB細胞、とくに制御性B細胞の評価に関しては細胞populationが極めて少数であり、フローサイトメトリーでの検出が極めて難しいことが判明した。今後は前述のように免疫チェックポイント阻害剤投与前後での経時的な食道癌患者の末梢血サンプルおいて、①がん抗原に対する自己抗体の網羅的測定結果、②Nivolumab(IgG4)が結合した末梢血T・B細胞の各表面マーカー発現解析結果、がそれぞれ臨床データとどう結びつくか解析をすすめていく方針である。
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