研究課題/領域番号 |
21K08780
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江口 大樹 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90726390)
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研究分担者 |
安井 隆晴 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60611283)
森山 大樹 九州大学, 大学病院, 准教授 (70586859)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膵癌 / 細胞内細菌 / microbiome / 細胞内共生 / オートファジー / KPCマウス |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は予後不良であり、既存の抗癌剤治療や放射線治療に抵抗性を示すことが多い。近年、無菌と考えられてきた膵組織内、膵腫瘍内にもmicrobiomeが存在し、免疫寛容の誘導を介して膵癌の進展を促進していることが報告され、microbiomeと膵癌進展との関係が注目されている。今まで癌微小環境の一員として認識されていた腫瘍内microbiomeは、腫瘍細胞内に生きて存在するだけでなく、癌細胞のbiologyにも影響を与えていることが示唆された。今回、腫瘍細胞内に共生するmicrobiomeに着目し、膵癌の進展や転移との関連を次世代シーケンサー(NGS)で解析する。
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研究実績の概要 |
本研究では、腫瘍細胞内に存在するmicrobiomeが腫瘍細胞のbiologyに影響を与えている可能性を考慮し、細胞内共生microbiomeに着目した癌の進展メカニズムの解明を目的とする。 ステップ【1】で、ヒト膵癌組織を用いて細菌の構成成分であるLPSを抗LPS抗体による免疫組織化学染色検査で評価したところ、膵癌の約60例で腫瘍内細菌の存在を確認した。正常膵組織にはLPSは検出されなかった。蛍光標識した細菌が膵癌細胞株に取り込まれることをTime-Lapse imagingでリアルタイム撮影することに成功した。 ステップ【2】で、細胞内に侵入することが報告されている特定の歯周病菌に着目し、ヒト膵癌組織のDNA抽出産物を用いて、PCRで増幅させたところ、歯周病菌であるFusobacterium nucleatum (F. nucleatum)由来のDNA検出群は非検出群と比較して、治療前の腫瘍サイズが大きく、膵後方浸潤の割合が高いことが判明した。 ステップ【3】で、膵癌細胞株皮下移植マウスへ歯周病菌F. nucleatumを腫瘍内投与し、腫瘍径を評価したところ、他の歯周病菌投与群と比較して、F. nucleatum投与群では有意に腫瘍の増大が得られた。 ステップ【4】で、歯周病菌F. nucleatumと癌細胞の共培養の上清のサイトカインアレイによりCXCL1の上昇がみられ免疫抑制性細胞の誘導を促すこと、それにより腫瘍浸潤性T細胞の減少がみられることが示された。これは、サイトカインの薬理学的、遺伝学的な阻害実験により確認された。 以上の結果より、細胞内で共生するmicrobiomeが膵癌の進展へ影響を及ぼしていることが示唆された。
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