研究課題/領域番号 |
21K08788
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
|
研究機関 | 京都大学 (2022) 兵庫医科大学 (2021) |
研究代表者 |
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 教授 (80359801)
|
研究分担者 |
多田 正晴 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40378708)
鳥口 寛 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40828422)
藤本 康弘 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80335281)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 酸素飽和度 / 酸化ヘモグロビン / 還元ヘモグロビン / マイクロミニブタ / カメラ / 近赤外線 / 手術ナビゲーションシステム / インドシアニングリーン / 脈管の可視化 / 多波長カメラ / 近赤外光 |
研究開始時の研究の概要 |
インドシアニングリーン(Indo-Cyanine Green:ICG)試薬を用いた手術ナビゲーションシステムが普及しつつあり、我々はICG蛍光画像をプロジェクタで投影し手術をナビゲーションするシステムを開発した。しかし、ICG蛍光法は血流などを定量的に評価できないという課題もあり、さらなる技術開発が望まれている。 本研究は、近赤外光領域を活用し2つの波長下画像による生体観察の基礎技術を基に、脂肪や臓器に隠れた脈管の可視化の実現を目指している。更に、2つの波長の画像演算で酸素飽和度を可視化し、血流の定量化および動脈と静脈を色分け表示する次世代の手術ナビゲーションシステムの開発を目指すものである。
|
研究実績の概要 |
可視の赤色光と近赤外光の酸化ヘモグロビン(Hb)と還元Hbの吸光の変動比率で脈拍と酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターの技術を応用し、近赤外領域の複数波長の光を用いて患部の酸素飽和度を可視化することで肉眼では見えない"奥にある"血管を描出しうると着想した。2波長(660nmと850nm)の反射光をカメラで撮像し、Hb吸収特性に基づいて酸素飽和度の演算処理を行う原理試作機を製作し、可視化ソフトを用いて酸素飽和度をリアルタイムで表示した。 前年度にドライ実験ののち、ウサギを用いて流入血遮断による肝臓の酸素飽和度の変化を捉えることに成功していたため、より人における臨床応用に近いサイズで評価をしうるマイクロミニブタを用いて観察実験を行った。 大動脈と下大静脈においては、肉眼では透見できない程度の脂肪組織が被った状態でも、並走している両者を可視化することができた。上腸間膜動脈も周囲に脂肪組織が被った状態で走行を確認することができたが、腎動静脈は不明瞭であった。一方、肝への流入血を一部遮断し、阻血域と通常血流域の肝実質の酸素飽和度を比較したが境界は不明瞭であった。また、血流が豊富な臓器や血種では酸素飽和度の基準値が高くなり、同領域内での脈管の可視化は困難であった。 これまでは小動物で行ってきたため狭い範囲の視野でおおむね問題なかったが、臨床応用を念頭におくと、画角の拡大、見たい場所へ適切に画角を合わせるのが容易な操作性が必要不可欠と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究責任者や研究分担者の異動に伴い、主な研究実施場所の移転が必要となった。 本研究は企業との共同研究で、実験室への機器の持ち込みや外部研究員の招請が欠かせない実験であり、京都大学と企業間で実験機器提供に関する契約の新たな締結や、新規実験計画の承認取得に時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
画角の拡大とカメラヘッドの操作性の改善を施したシステムの完成を待ち、再度マイクロミニブタで深部血管の観察を行い、さらなる酸素飽和度検出の精度を上げることによる3mm程度の肝内の門脈や静脈の描出可能性を評価する。 また腸間膜血管の処理を行い、腸管壁の血流評価への応用の可否についてもマイクロミニブタで実践を行い、本システムの安全な腸管吻合への貢献を企図する。
|