研究課題/領域番号 |
21K08789
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 典宏 産業医科大学, 医学部, 講師 (20423527)
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研究分担者 |
平田 敬治 産業医科大学, 医学部, 教授 (70269059)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / ヒアルロン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒアルロン酸は癌間質に豊富に存在するマトリックスであり、癌にとって有利な環境を提供している。特に、その分解産物である低分子ヒアルロン酸が、細胞の増殖・運動・浸潤能を高めることで、癌の進展に寄与していることが明らかになってきた。我々は、膵癌においてヒアルロン酸の産生および分解酵素が活性化されており、過剰に産生された低分子ヒアルロン酸によって膵癌細胞の悪性度(遊走能など)が亢進していることを報告した。本研究では、膵癌におけるTMEM2の発現パターンと予後を含めた臨床病理学的因子との関連を明らかにし、その調節メカニズムおよび機能的役割(悪性化への寄与)について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、膵癌におけるTMEM2の発現を調べ、その調節メカニズムおよび機能的役割を明らかにすることである。まずは、他のヒアルロン酸分解酵素との関連を調べるために、我々が膵癌の悪性度(遊走能など)を高めることを証明したKIAA1199(CEMIP)とTMEM2との関係を解析した。膵癌細胞株におけるmRNA発現の解析では、KIAA1199とTMEM2の発現は、正の相関を示していた。また、膵癌患者92例の切除標本におけるKIAA1199とTMEM2のタンパク発現を免疫組織染色にて調べたところ、ともに発現が低いグループの全生存期間がおよそ30ヶ月であったのに対して、ともに発現が強いグループのそれは12ヶ月であり、有意に短縮していた。以上の結果より、TMEM2は膵癌において、もう1つのヒアルロン酸分解酵素であるKIAA1199とともに悪性度を高める役割をはたしている可能性が示唆された(Kudo Y, et al. Concurrent Overexpression of Two Hyaluronidases, KIAA1199 and TMEM2, Strongly Predicts Shorter Survival After Resection in Pancreatic Ductal Adenocarcinoma. Pancreas. 2022 Aug 1;51(7):800-807.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を報告した論文が、海外の雑誌にアクセプトされた(Kudo Y, et al. Pancreas. 2022 Aug 1;51(7):800-807. )。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、膵癌の悪性形質獲得および癌微小環境におけるTMEM2の生物学的役割の解析をすすめる。具体的には、膵癌細胞を用いてTMEM2の強制発現モデルとノックアウトモデルを作成し、細胞のふるまいおよび小胞体ストレスに与える影響を調べる。
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