研究課題/領域番号 |
21K08792
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉住 有人 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90895856)
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研究分担者 |
高屋敷 吏 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (30456024)
久保木 知 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (50571410)
細川 勇 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60623676)
酒井 望 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70436385)
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | IRG1 / Tspan15 / 肝細胞癌 / 肝内胆管癌 |
研究開始時の研究の概要 |
肝胆膵領域癌は予後不良であり、新たな分子標的治療の開発が急務である。炎症性シグナルは癌の悪性度を高めるが、 STAT3やNF-κBを標的とした癌治療は臨床応用に至っていない。そこで炎症性シグナルを調節する新規標的因子としてIRG1に着目した。IRG1は抗炎症効果や抗菌効果をもたらすと共に、TCA cycleやミトコンドリア呼吸鎖の複合体IIを阻害するとされ、未だ十分に解明されていない。しかし、肝胆膵領域癌においてIRG1と腫瘍悪性度の関連を評価した研究は存在しない。よって本研究では肝胆膵領域癌におけるIRG1発現の意義を解明し、隣接非癌部の炎症性変化・腫瘍進展・発癌などへの関与を評価する。
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研究実績の概要 |
今年度は、肝胆膵領域癌においてβcateninやNF-kBを介して抗炎症作用や腫瘍促進的に作用する可能性ある蛋白であるTetraspanin15に着目し研究を実施した。まず、当院で初回切除 が行われた80例の肝内胆管癌においてFFPE切片を用いて免疫染色を行いTetraspani15発現と予後との相関性を評価した。腫瘍部のTetraspanin15高発現群においては、低発現群と比較して予後が不良となっていた。次にヒト肝内胆管癌細胞株であるHuCCT1とHuH28を用いてin vitroでの実験を行った。既報ではTetraspanin15はEMTを促進する、またCancer stem cell-like propertyを増強するとされており、代表的なEMT markerであるE-cadherinやVimentin、またstemness markerであるCD133,CD44とtetraspanin15との相関性を検討した。その結果、Tetraspanin15の発現とVimentin,CD133,CD44の発現は正の相関を示し、E-Cadherinの発現は不の相関を示した。また、浸潤能や遊走能およびanoikis耐性、colony形成能などもTetraspnain15発現と正の相関を示し、Tetraspanin15は肝内胆管癌の細胞株において腫瘍促進的に働くことが示された。一方で、Tetraspanin15とβcateninやNF-kBとの関連についてはFFPE切片を用いた免疫染色や細胞実験では実証できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は肝内胆管癌におけるTetraspanin15の発現の意義について検討しており、FFPE切片や細胞株を用いた実験を行った。Tetraspanin15が腫瘍促進的に作用するという想定に対しては、実証できており進捗状況としては順調であると考えられたが、βcateninやNF-kBと関連においては想定と異なり実証できなかった。次年度ではTetraspanin15が作用する下流の蛋白についての検討を行う方針である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究によりTetraspanin15が肝内胆管癌において腫瘍促進的に働くことが示されたが、過去に報告されているβcateninやNF-kBなどとの関連は実証できなかった。今後は、Tetraspanin15との関連が報告されているADAM10(A disintegrin and metalloprotease10)やNotch1について研究を行っていく。また細胞実験において有意な結果が得られており、マウスなどを用いたin vivoな実験に進むことも視野にいれている。
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