研究課題/領域番号 |
21K08835
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 良太朗 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (00741745)
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研究分担者 |
濱中 洋平 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (10463788)
赤松 大二朗 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40420012)
原田 成美 東北大学, 大学病院, 助教 (70547413)
梅津 道久 東北大学, 大学病院, 助教 (00910647)
田島 悠太 東北大学, 東北大学医学部, 非常勤講師 (90884908)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 下肢閉塞性動脈硬化症 / 腸内細菌 / メタゲノム解析 / メタトランスクリプトーム解析 / メタボローム解析 / 動脈硬化症 / 閉塞性動脈硬化症 / 次世代シーケンサー / 腸内細菌叢 / メタトランスクリプト ーム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
閉塞性動脈硬化症は軽症例では間歇性跛行症状を呈して活動性の低下を招き、重症化すると安静時痛や足趾潰瘍・壊疽を来して肢切断の危機に陥る病気です。動脈硬化症は全身病であるため虚血性心疾患や脳血管疾患、慢性腎臓病などを併存する患者は多く、その生命予後は下肢の温存に関わらず概して悪い事が知られています。脆弱な患者背景のため外科的血行再建術後の周術期死亡率は2%前後と他の多くの悪性疾患手術と比べても高い事が問題となっています。本研究により細菌と動脈硬化症との関連が明らかになれば、感受性のある抗生物質投与による重症化予防や腸内細菌叢の正常化などの介入の道が拓けるのではないか、と考えています。
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研究実績の概要 |
下肢閉塞性動脈硬化症(lower extremity artery dusease: LEAD)は下肢血流減少により活動性の低下を来し、重症例では虚血性壊死を生じて肢切断に至る疾患である。超高齢化社会を背景に罹患数は増加しており、冠動脈疾患や脳動脈疾患等の全身の動脈硬化疾患の合併頻度も高い。そのため医療経済的な側面や生命予後に与える影響から発症予防と進行抑制は重要な介入点であり、病態の解明が望まれている。動脈硬化性疾患の発症は複数の臨床的リスク因子によって疫学的説明がなされているが発生と進行に関わる詳細な機序は不明である。近年、動脈局所における特定の細菌感染やある種の腸内細菌叢パターンが動脈硬化病変の進展に重要な役割を果たす炎症反応と関連している事が示唆された。我々はメタゲノム解析、メタトランスクリプトーム解析、メタボローム解析の手法を用いて動脈硬化組織と血液、糞便の菌種や代謝産物を解析し、動脈硬化病変組織の炎症性サイトカインとの関連を検討する事によって動脈硬化と細菌との関連性を明らかにする。この事により病態の解明と進行抑制に向けた介入の糸口を掴む事を目的として本研究を申請した。具体的には以下の点を明らかにする。①LEADの動脈病変組織と糞便中の細菌をメタゲノム解析で同定し、動脈硬化巣と糞便中の最近の一致を検討する。②LEAD患者の糞便からメタトランスクリプトーム解析を用いて細菌が発現する遺伝子と代謝系を明らかにする。併せて血液のメタボローム解析を行い、細菌発現遺伝子・代謝産物と動脈硬化組織の炎症との関連を検討する。③LEA患者と健常者の糞便をメタゲノム解析・メタボローム解析し比較する。④LEA患者と健常者の血液をメタボローム解析し比較する。現在のところ、10名の患者から検体を採取して解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の方法は以下の通りである。 東北大学総合外科(血管外科)において症候性下肢閉塞性動脈硬化症の診断で外科的血行再建の適応となった患者を対象とし、文書と口頭による同意を得て登録する。動脈硬化病変の標本採取は大腿動脈血栓内膜摘除術および下肢動脈バイパス実施時に壁の一部から動脈全層を採取する。静脈血液(10ml)と糞便は周術期に投与する抗生物質の影響を避けるため手術前に採取する。各検体のメタゲノム解析、メタトランスクリプトーム解析、メタボローム解析を実施する。 しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、例年の動脈硬化症手術数に比較して2021年、2022年の手術件数は少なかった。このため予定していた患者登録が進まず研究遂行に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度から新型コロナウイルスが5類に移行するに伴い東北大学病院での動脈硬化症診療は通常の診療に復するため、手術件数が増えるとともに患者登録が進むと考えている。
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