研究課題/領域番号 |
21K08859
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
秋田 利明 名古屋大学, 医学部附属病院, 特任教授 (30167837)
|
研究分担者 |
久田 俊明 株式会社UT-Heart研究所, 研究開発部, 代表取締役会長 (40126149)
成田 裕司 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378221)
辻 幸臣 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (60432217)
岡田 純一 株式会社UT-Heart研究所, 研究開発部, 取締役 (60648103)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | 致死的不整脈 / 心室細動 / 植え込み型除細動装置 / 心臓サポートネット治療 / 心臓ネット / 低エネルギー除細動(LEAP) / 心不全 |
研究開始時の研究の概要 |
致死性不整脈に対して使用される植込み型除細動装置は極めて高エネルギー(800V, 35J)の直流通電(DC)を必要とし、心筋傷害による心機能低下や意識下通電時の肉体的・精神的苦痛による心的外傷後ストレス障害が発生し臨床上に大きな問題である。我々はVFに対して心室に密着するネット状の導電性繊維電極を心基部心尖部間に配置しDCショックを行うと無痛性レベル(<0.7J)で除細動が可能であることを正常心機能の動物実験で示してきた。本研究では、慢性心不全モデルにおいても導電性繊維電極を組み込んだ心臓ネットにより低エネルギー通電でVFの停止が可能かの検証とさらなる低エネルギー除細動に向けた技術開発を行う。
|
研究実績の概要 |
名古屋大学医学部動物実験施設の改修終了が遅れ、令和4年度内には実験ができなかったため、ふくしま医療機器開発支援センターでの豚を用いた実験を行なった。予算の関係で豚3匹の除細動実験を行なった。令和3年度の慢性心不全犬モデルでの除細動閾値(DFT)が1.2J と無痛性除細動とされる0.7Jを超えていたため、Trajanovaらが提唱するLow energy antifibrillation pacing(LEAP<0.1J)で除細動が可能かを検証した。タングステン細線(Φ30μm)を用いて10本の周回電極を心臓ネットに組み込んだ除細動ネットを作成し、30kgの豚の心臓に装着し、9V乾電池でVfを誘発した。Biologic社SP-300を用いてLEAP(10V, Pulse width 2-5ms, CL 90ms, 10 pulses)を用いた。LEAPによる除細動は不確実で3/10の成功率だった。一方除細動は2~10Jで停止した。同じく豚を用いたメッシュ状の左右パッチ電極での除細動実験(Killu, JACC 2017)のDFT12~16Jよりは低かったが、無痛性レベルではなかった。一方心房細動に対してはLEAPは確実に除細動が可能だった。心室に対するLEAP中心室の収縮は認めることができず、心臓外に通電エネルギーが漏れていることを示唆した。導電性電極から選択的に心臓壁に通電できるよう絶縁システムが必要であることが示唆された。 致死的不整脈に関するコンピュータシミュレーションを行い、Long QT症候群においてはVfを生じやすいものの、逆に除細動閾値は低下することを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
名古屋大学医学部動物実験施設の回収が遅れて、名古屋大学でのビーグル犬を用いた動物実験はできなかったが、ふくしま医療機器開発支援センターでの豚を用いた動物実験を行うことことができ、無痛性除細動に道をひらくlow energy ant-fibrillation pacing (LEAP)の有用性と問題点を確認できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
LEAP電流を選択的に心室壁に通電させるための絶縁システムの開発を行う
|