研究課題/領域番号 |
21K08873
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
住倉 博仁 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (20433998)
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研究分担者 |
太田 圭 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (00393207)
本間 章彦 東京電機大学, 理工学部, 教授 (20287428)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 人工心肺 / ECMO / 圧力推定 / 非観血 / 変位測定 |
研究開始時の研究の概要 |
人工心肺やECMO等の体外循環回路を安全に管理する上で、回路内圧の測定は重要である。圧力測定方法は観血式が主であるが、圧力計を接続するためのコネクタにて血栓形成の可能性を有する。本研究では、体外循環回路における回路内圧を非観血的、すなわち、血液と非接触で推定する方法の開発を目的とした。体外循環回路の装置間を接続するための軟質ポリ塩化ビニルチューブは、回路内圧により微小ながらも変形している。光学式変位センサを用いてこのチューブの微小な変位を測定することで、回路内圧を非観血的に推定する方法の開発に関し研究を推進する。
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研究実績の概要 |
人工心肺やECMO等の体外循環回路を安全に管理する上で、回路内圧の測定は重要である。圧力測定方法は観血式が主であるが、圧力計を接続するためのコネクタにて血栓形成の可能性を有する。そこで我々は、回路に使用するチューブの変形から回路内圧を推定する方法を開発中である。しかし、チューブの変位量は微小であるため十分な推定精度が得られず、更に、粘弾性体であるチューブは、時間に依存し変位が増大するクリープが生じる。本研究では、体外循環回路における回路内圧を非観血的に推定する方法を実現するために、微小なチューブの変位を精度良く測定する技術の確立と、チューブのクリープを推定するための数理モデルの構築を目的とした。本年度は、小型カメラを用いた撮影画像による回路内圧の推定、およびクリープを抑制することで回路内圧を推定可能な装置の試作を行った。 (1)小型カメラを用いた撮影画像による回路内圧の推定 小型カメラを組み込んだ治具を用いて、撮影画像から画像処理によりチューブの変位を算出した。回路内圧を陽圧・陰圧とした場合のチューブの変位を4時間計測したところ、回路内圧が一定でも変位が次第に増加するクリープが確認された。また、数理モデルにより回路内圧を推定した結果、初期の誤差は大きいものの時間経過で誤差は減少した。このことから、撮影画像から回路内圧を推定可能なことが示唆された。 (2)回路内圧推定装置の試作 チューブのクリープを抑制するために、ハウジングと流体を用いてチューブ外周を密閉し、チューブの変形を流体の圧力変化として計測可能な装置を試作した。本装置を用いて密閉流体の圧力を4時間計測し回路内圧を推定したところ、計測初期に誤差は生じたが次第にその誤差は減少し、4時間の時点で回路内圧と推定回路内圧は同等の値を示した。このことから、チューブのクリープを抑制することで非観血的に回路内圧を推定可能なことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小型カメラを用いた回路内圧の推定について、模擬循環回路を用いた評価試験を実施し、陽圧・陰圧時のクリープの影響を把握することができた。また、ばねとダッシュポットからなる3要素モデルから導出した数理モデルにより、陽圧・陰圧時の回路内圧を推定することができた。しかし、推定した回路内圧は計測初期の誤差が大きいことから、チューブ固定治具や数理モデルの改良の必要性が示された。 チューブのクリープを抑制するために、チューブ外周部を密閉する構造を持つ回路内圧推定装置を試作した。模擬循環回路を用いた評価試験を実施し、装置の密閉流体の圧力から回路内圧を推定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
小型カメラを用いた撮影画像による回路内圧の推定において、チューブの変位を精度良く測定するための固定治具の改良に加え、小型カメラの仕様や画像処理方法、測定環境について研究を行う。また、回路内圧の推定精度の向上を目的とし、チューブの物性の測定や数理モデルの改良を行い、模擬循環回路による評価試験を実施する。更に、物性やサイズの異なるチューブを対象に、本手法にて回路内圧を推定可能か評価する予定である。
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