研究課題/領域番号 |
21K08880
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
中島 崇裕 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20400913)
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研究分担者 |
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
太田 昌幸 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (40866612)
本橋 新一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (60345022)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 超音波気管支鏡 / 非小細胞肺癌 / 画像解析 / バイオマーカー / 異常メチル化 / リンパ節転移 / 非小細胞肺がん / radiomics / deep learning / 肺癌 / プレシジョン診断 / 気管支鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬といった肺がん薬物療法の進歩は局所治療の効果を高め、たとえ遠隔転移を有する症例であっても、適切な症例選択のもとに積極的な局所治療を行う意義が見直され始めている。根治的肺がん治療の中核をなすのは依然として外科的切除であり、次世代の肺がん外科では、最適な治療法選択と組み合わせによる治療成績の向上が期待される。本研究では、国際的にも最高水準にある日本の呼吸器内視鏡診断技術を応用することにより、肺がん診療の最適化(プレシジョン化)を実臨床でも行えるようにすることであり、肺癌治療成績の向上のみならず、副作用の低減や総医療費の抑制が期待される。
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研究実績の概要 |
AI技術による高悪性度腫瘍予測システム開発では、縦隔・肺門リンパ節転移を示す局所進行肺癌症例でのリンパ節転移診断の精度向上および効率化を目標に、超音波気管支鏡の超音波画像のdeep learning解析を進めた。166リンパ節(悪性64リンパ節、良性102リンパ節)画像のビデオクリップから、解析法として5分割法には5255枚、hold-out法には6444枚の画像を抽出して解析を行った。本法におけるAUCは0.95であり、deep learningによって十分な精度でリンパ節の良悪性予測が可能であることを示した。 走査分子計数法によるリンパ節転移に関連するマイクロRNA検出では、miRNA精製とビーズ分離を簡略化することで、これまで簡略法を用いて75分程度で検出できていた特定のmiRNAを30分程度で検出できるかについて検討を行った。磁器ビーズを用いて抽出していたmiRNAについて、ピペッター回収法(簡略法)からロッド回収法(高速法)に変更することで、miRNAの回収効率が改善され、約60分かかっていたmiRNA回収を25分に短縮することが可能であり、また同一検体を用いた解析において高速法を用いても既存の検出量と変わらない定量性能を有することが明らかとなった。 微小生検検体での分子マーカーによる術前予後不良肺がん診断法の開発においては、肺腺癌の網羅的メチル化解析によって、悪性度の高い組織亜型である微小乳頭型および充実型腺癌ではメチル化の頻度が高く、またメチル化頻度と無再発生存および全生存率に相関があることを示した。さらにメチル化頻度は喫煙指数との相関も認めた。メチル化頻度を予測するマーカーとして、中間頻度および高頻度メチル化マーカーを抽出し、surrogate遺伝子のメチル化を調べることで、メチル化の頻度と予後の予測が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AI技術と超音波内視鏡画像解析技術による悪性腫瘍予測システムの開発においては、既存の超音波内視鏡画像に対するdeep learningの結果として、hold-out法を用いた場合感度約77%、特異度約90%、正診率約85%という診断精度で対象とするリンパ節の良悪性鑑別が可能であった。これは熟練した医師による画像予測結果に匹敵する診断精度であり、優先して穿刺すべきリンパ節の選択に有用であると考えられた。 走査分子計数法による迅速リンパ節転移診断法の開発では、miR-200c検出によって86症例、100リンパ節を対象とした解析(簡略法)において、感度85%、特異度83%でリンパ節転移の検出が可能であった。miR-200cの検出系では、コントロールとなるU6とmiR-200cの発現に大きな差があり、コントロールとの比較を行うことなくリンパ節転移の診断が可能であった(AUC=0.88)。また検出系を30分に短縮した高速法でも、前出の簡略法と同等の検出が可能であり、検出感度にも影響を与えずにごく短時間での転移リンパ節検出が可能であると考えられた(AUC=0.86)。 分子マーカーによる術前予後不良肺がん診断法の開発ではsurrogate markerとして高頻度メチル化ではCXCL12、FAM181B、HOXA11、中等度メチル化ではTXB18、ZNF154、また共通のマーカーとしてSCT、GJD2がそれぞれ同定され、無再発生存と有意な相関があることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の流行によって、気管支鏡検査件数の制限・減少があり、研究の進捗状況としてはやや遅れている。一方で、最先端の画像処理技術を搭載した新型超音波観測装置が登場し、臨床での評価を実施しており高解像度画像での解析を計画しているほか、末梢肺病変に対するラジアル型超音波プローブによって得られた超音波画像についても画像解析によって良悪性鑑別を行う準備を進めている。 CT画像解析では、CT画像を構築するアルゴリズムはメーカーによって異なるため、異なるメーカーのCTであってもSTASを検出できるか否かについて検討を進めている。 走査分子計数法については、既存のデータをまとめ報告する予定であるほか、30分での検出系である高速法によるリンパ節転移診断法についても、気管支鏡検査件数の回復とともに新たな検体を用いて進めていく方針である。 分子マーカーによる術前予後不良肺がん診断においては、同定されたメチル化頻度予測マーカーについて生検による微小検体でのvalidationを計画している。 マスサイトメトリーによる免疫細胞解析に関しては、機器の不具合などによって新たな解析が中断しており、代替法についての検討を進めている。
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