研究課題/領域番号 |
21K08888
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
町野 隆介 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (90728081)
|
研究分担者 |
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80404268)
藤澤 一範 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 助教(特定雇用) (00724634)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
野中 隆 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (30606463)
朝重 耕一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (70457547)
富永 哲郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60457546)
森山 正章 長崎大学, 病院(医学系), 医員 (90815953)
谷口 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (20773758)
小山 正三朗 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20815972)
内田 史武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (00866270)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | カーボンナノチューブ / バイオ3Dプリンター / 細胞培養 / バイオ3Dプリンター / 人工臓器 |
研究開始時の研究の概要 |
バイオ3Dプリンターは理想的な管腔臓器再生ツールと考えられる。しかし、人工臓器の臨床応用にむけた課題は、軟骨組織、平滑筋組織を始めとした構成細胞の品質、特に人工臓器の強度、幹細胞の人工臓器内での分化、人工臓器内の血管形成などの不安定さである。 この解決方法として、細胞接着に関与できるdrug deliverysystem(DDS)としてカーボンナノチューブ(CNTs)を用いた研究を行う。CNTsを用いて、幹細胞を様々な細胞に分化させ、さらにCNTsによる細胞接着、機械的刺激による分化能維持や分化誘導を行うことで、組織の強度を上昇、安価な人工臓器を短期間で作製する新たな方法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
バイオ3Dプリンターによる自己細胞および幹細胞からなる人工管腔臓器は、理想的な管腔臓器再生ツールと考えられる。我々はこれまでに、人工気管、食道、小腸、尿管を作製、小動物へ移植、生存に成功した。しかし、これらの人工臓器の臨床応用にむけた課題は、軟骨組織、平滑筋組織を始めとした人工臓器の基本となる構造体の品質、特に人工臓器の強度、幹細胞の人工臓器内での分化、人工臓器内の血管形成などの不安定さである。この解決方法として、細胞接着に関与でき、細胞に直接増殖因子を提供できるdrug delivery system(DDS)としてカーボンナノチューブ(CNTs)を用いた研究を行う。CNTsは、現在癌細胞などに対する抗がん剤のDDSや幹細胞培養における分化調整可能な足場(scaffold)素材として注目されている。このCNTsを用いて、増殖因子を直接人工臓器内へ埋め込むことで、幹細胞を様々な細胞に分化させ、さらにCNTsによる細胞接着、機械的刺激による分化能維持や分化誘導を行うことで、組織の強度を上昇、安価な人工臓器を短期間で作製する新たな作製、製造方法の確立を目指す。本研究課題における問いは、「CNTsの添加により、3Dプリンターによる人工管腔臓器の品質向上および製造コスト削減が得られるか」であり、バイオ3Dプリンターによる管腔臓器再生に使用する幹細胞を用いた細胞凝集体であるspheroidにCNTsを添加することで、細胞の分化に必要な成長因子を減らすことが出来るか、およびCNTsの細胞に与える毒性について検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CNTsをspheroidに添加する際に、CNTsがお互いに接着してしまい濃度が一定にならないことがわかった。この問題は超音波洗浄機を用いることでCNTsが細かく分散され対応可能となった。間葉系幹細胞MSCsにTGFβおよびBMP-2を加えることで軟骨細胞に誘導されることが、我々の先行研究でも証明されている。特にBMP-2は高価であり、CNTsの添加によりBMP-2の使用を抑えることが出来れば品質を落とさず、製造コスト削減につながる可能性がある。低濃度のCNTsを添加したMSCsのspheroidは問題なく軟骨様組織に分化し、CNTsの毒性による明らかな細胞死も見られなかった。しかしCNTsの添加濃度を上げると、TGFβ、BMP-2使用下においても軟骨に分化することはなく、同じ細胞数でもspheroidは小径でCNTsの細胞毒性による細胞死が予想された。細胞死を起こさない程度の低濃度のCNTsを添加し、培地にTGFβのみを添加した状態でspheroidを作成、軟骨様組織に分化誘導した場合と、同様のspheroidをTGFβ+BMP-2を添加して行った場合の培地価格差は1.5-2倍程度となる。実際の臨床応用を考えた際には人工気管のサイズもさらに大きなものを作成する必要があり、BMP-2を添加しないことでの製造コストの削減効果は大きいと考えられるが、一つの人工気管を作成するのに時間とコストを要するためまだ作成には至っていない。まずはin vitroでの検討を中心に行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
他施設からも細胞培養の足場材料にCNTsを加えることで、骨形成が促進されることが報告されているが、細胞と共培養を行うことでの効果を検討した報告はみられていない。 TGFβの添加のみで、BMP-2を添加した際と同等の品質の軟骨分化spheroidの作成を目指し、spheroidへのCNTsの添加の有無、培地へのBMP-2の添加の有無でグループ分けしたspheroidを用いて、その品質の比較および細胞毒性の検討を行う。 その上で、3Dバイオプリンターを用いて人工気管を作成し、TGFβおよびBMP-2を添加したCNTsを添加していない人工気管との品質の差を検討している。 またCNTsを添加した人工気管のラットへの移植実験を施行し、作成された人工気管の組織内での細胞毒性から、移植後のラット生体内での組織毒性の評価も検討している。
|