研究課題/領域番号 |
21K08889
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
小副川 敦 大分大学, 医学部, 准教授 (90432939)
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研究分担者 |
宮脇 美千代 大分大学, 医学部, 講師 (30404388)
杉尾 賢二 大分大学, 医学部, 教授 (70235927)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | EGFR遺伝子変異陽性肺癌 / 細胞周期 / 上皮成長因子受容体 / 肺腺癌 / 非小細胞肺癌 / EGFR / cell cycle |
研究開始時の研究の概要 |
EGFR遺伝子変異陽性肺癌は、1次治療として第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブの単剤療法が奏効し、約1.5年の無増悪生存が示されている。 しかし、有効な2次治療がないため、治療成績の向上には薬剤併用療法を主体とした1次治療の強化が重要と考えられる。CDK4/6阻害剤は細胞周期を標的とした初めての薬剤で、ホルモン受容体がドライバーである乳癌において内分泌療法との相乗効果が示されている。 本研究では、ドライバー陽性肺癌の臨床検体やPDOを用いた薬剤併用試験を通じて、細胞周期を標的とした薬剤併用の効果と、そのシグナル伝達阻害メカニズムを解明し、新たな治療戦略の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
EGFR変異陽性肺癌切除症例におけるcyclinD1の発現と臨床病理学的背景や予後との関連を明らかにすること、EGFR変異陽性肺癌細胞株におけるEGFR-TKIとCDK4/6阻害剤の併用効果を検討することを目的とし、以下の解析を行った。Cyclin D1免疫組織化学染色を行った83例のうち、54例について、スライドの腫瘍組織を顕微鏡で撮影、解析ソフトウェア(BZ-H4C)を用いて陽性細胞数を自動計算した。計算後、各画像は目視で確認、補正し、Cyclin D1の発現と臨床病理学的背景因子との関連を検討した。また、EGFR変異陽性肺細胞株(H1650、H1975、PC9)にAbemaciclib (CDK4/6阻害剤)とOsimertinib (EGFR-TKI)を単剤、または併用して投与し、PIとEdUによる2重染色を行い、フローサイトメーターで蛍光シグナルを計測した後、G1/S/G2+M期の割合をFlowJoで解析した。【結果と考察】陽性割合の平均値が50%であったため、50%をカットオフとして高発現群、低発現群に群分けした。臨床背景では、女性と非喫煙者でcyclinD1高発現の症例が多く見られた。病理学的因子やEGFR変異のサブタイプでは、有意差を認めなかった。術後無再発生存曲線では、高発現群は低発現群よりも予後良好な傾向にあった。細胞株の検討では、PIとEdUの二重染色の結果、いずれの細胞株においてもAbemaciclib単剤投与時と2剤併用時に、S期の割合が減少した。Osimertinib単剤投与下でもS期の減少は見られたが、Abemaciclib投与下ではS期は更に減少し、2剤併用下ではS期はほぼ消失した。cyclin D1高発現群で、女性、非喫煙者が多く予後良好であるという結果をうけて、その要因・機序に関して臨床検体及び細胞株を用いた研究を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EGFR遺伝子変異陽性肺癌において、cyclin D1の発現とその意義が予想より複雑であることが判明したため、既存の細胞株による検討の他に実験を行う必要が出てきた。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体を用いた解析について、症例数を追加する。 肺癌細胞株の他に、遺伝子導入正常上皮細胞株、乳癌細胞株を用いた検討を行う。
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