研究課題/領域番号 |
21K08890
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
樋口 光徳 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50398343)
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研究分担者 |
鈴木 弘行 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30322340)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 肺癌検診 / 人工知能 / 胸部X線写真読影支援 / 胸部画像診断支援 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,医療分野へのAIの活用事例の報告が増えている.肺癌診断へのAIの応用の試みも報告されているものの,低線量CTなどを用いたものが主体であり,X線での検討は極めて少ないのが現状である.我々は,過去に用いられた肺癌検診X線のデジタルデータ,二次読影で肺癌疑いとされた症例の追跡調査の結果,肺癌と診断され外科手術を受けた症例のX線データを用いて読影医師と同等な精度ののAIを作製した.今後は教師データの母数を増やし,データ拡張技術を用いて画像特徴を解析する.更に機種や撮影環境の相違を吸収する技術を用いて,着目領域(ROI)ごとの学習を行なって精度向上を図る.
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研究実績の概要 |
近年,医療分野へのAI(artificial intelligence, 人工知能)の活用事例の報告が増えてきている.特に脚光を浴びているのは「Deep Learning(深層学習)」 という学習手法である。Deep Learning とは、従来からあるニューラルネットワークの層を深くしたものであるが、情報のスパース性を考慮し、冗長な情報を巧 妙にカットし効率よく学習する仕組みを導入し、データ規模の拡大(ビッグデータ)・計算機資源の高度化等の流れにも恵まれて成功した。胸部X線検査におい ては、以前よりCAD (computer aided detection)による異常陰影の同定が試みられており、一部は健診分野にも導入されているが課題も多く一般化されていな い。しかし近年のAIの技術的進歩は著しく、deep learning(深層学習)によって、より複雑なデータが対象でも解析できるようになっており、従来よりも精度 が高い画像処理や認識能力が期待できる。これまでに肺癌検診へのAIの応用の試みも報告されているが、低線量CTなどを用いたものが主体であり、胸部X線検査での応用は報告がないのが現状である。本研究では集団健診における画像読影作業に関し、深層学習により精度が高いAIの開発を目指すものである。2017・2018年の画像データ 800例(正常データ400例と異常を有するデータ400例)を対象とした。更に米国NIHが提供する胸部X線画像11万例のうち5000例のデータも利用した。ここではNIHのデータを含めたタイプAと含めないタイプBのそれぞれAIの作成に至った。精度評価ではいずれも正診率70%程度であった。現在はこれらのデータをまとめ、論文公表および国際学会での發表を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017・2018年の画像データ 800例を収集し、NIHのデータも用いて2つのタイプのAIの作成に至った。精度評価では正診率70%程度であった。当該研究の内容は適宜、令和4年4月24日に第61回日本呼吸器学会・会長企画シンポジウムで発表し、また大学発イノベーティブ・ベンチャー創出事業「第4回福島 テックプラングランプリ」のファイナリストとして選出され、令和3年11月27日にプレゼンテーションを行った。 発明の名称を「判定予測システム、判定予測方法及び判定予測プログラム(整理番号:PY20201486)」として、既に特許出願を2020年9月17日に行なっていた が、2020年3月30日に公開された。現在は、得られたデータをまとめ、2023年11月に英文誌(Fukushima Journal of Medical Science)に発表するとともに、2024年9月に国際学会で発表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
過去画像を用いて対象データを増やしつつ、追加学習を行いながらAIの精度向上を検証中である。 過去の肺癌検診受診者の画像データを用いて,改良したAIを実際の肺癌検診の現場に改めてPACSシステムに組み込んで提供し,読影医師とAIの診断能力を比較す る.診断結果については,各受診者の2次検診受診後の追跡調査の結果をもとに前年度に施行した後ろ向きの精度評価の際と同様の評価項目について比較する. 併せて精度向上のために研究協力者とともに追加学習を継続する.この作業を繰り返して精度を向上させた後に、読影医師と同時にAIにも判定させ,その結果を追跡調査してその診断能力を直接比較する.評価項目はこれまでと同じとする.また、より精度の高いAI搭載の画像処理装置を研究協力者とともに開発してその産業化も視野に入れて研究を進めていく.それまでに得られた診断精度などのデータについては新たにまとめ,国内外の学術集会で発表するとともに論文 発表も行う予定である.
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