研究課題
基盤研究(C)
近年,医療分野へのAIの活用事例の報告が増えている.肺癌診断へのAIの応用の試みも報告されているものの,低線量CTなどを用いたものが主体であり,X線での検討は極めて少ないのが現状である.我々は,過去に用いられた肺癌検診X線のデジタルデータ,二次読影で肺癌疑いとされた症例の追跡調査の結果,肺癌と診断され外科手術を受けた症例のX線データを用いて読影医師と同等な精度ののAIを作製した.今後は教師データの母数を増やし,データ拡張技術を用いて画像特徴を解析する.更に機種や撮影環境の相違を吸収する技術を用いて,着目領域(ROI)ごとの学習を行なって精度向上を図る.
福島県保健衛生協会が提供する800例の検診画像単独の人工知能(AI)(type A)と米国NIHが提供する5,000例の胸部X線写真を加えた人工知能(type B)を開発して各々の精度を確認した。この際にはデータの交叉試験を繰り返し、精度の向上を目指した。type AではAUC 0.74、type BではAUC 0.79と良好な精度のAIが完成した。これらAIでは共に病変部をヒートマップ表示で視覚的に表示しており、また肺結節の陽性確率(positive probability index)を併記した。ここでは0.5をcutoff値としている。この結果は、これまでに報告されているAIの読影精度と比較しても同等以上の成績であった。また、専門医の読影精度と比較しても良好であった。これらの結果は、2023年3月29日から4月1日までにデンマーク・コペンハーゲンで開催されたEuropean Lung Cancer Congress 2023で発表した。また、開発したAIの精度などについて欧文誌へ投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
発明の名称を「判定予測システム、判定予測方法及び判定予測プログラム(整理番号:PY20201486)」として、既に特許出願を2020年9月17日に行なっていた が、2022年3月30日に公開された。現在は,完成したAIの制度向上を目指して検証中であると同時にこれまでに完成させたAIについて既に論文を作成炭であり、欧文誌へ投稿中である.
過去の肺癌検診受診者の画像データを用いて,改良したAIを実際の肺癌検診の現場に改めてPACSシステムに組み込んで提供し,読影医師とAIの診断能力を比較す る.診断結果については,各受診者の2次検診受診後の追跡調査の結果をもとに前年度に施行した後ろ向きの精度評価の際と同様の評価項目について比較する. 併せて精度向上のために研究協力者とともに追加学習を継続する.この作業を繰り返して精度を向上させた後に、臨床試験として読影医師と同時にAIにも判定さ せ,その結果を追跡調査してその診断能力を直接比較する.評価項目はこれまでと同じとする.また、より精度の高いAI搭載の画像処理装置を研究協力者ととも に開発してその産業化も視野に入れて研究を進めていく.
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件) 産業財産権 (2件)
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