研究課題/領域番号 |
21K08899
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川口 晃司 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10402611)
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研究分担者 |
金田 真吏 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (30793418)
田口 歩 愛知県がんセンター(研究所), 分子診断TR分野, 分野長 (50817567)
伊藤 温志 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (80783133)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肺非腺癌 / 多層プロテオーム解析 / サーフェスオーム解析 / 患者腫瘍組織移植(PDX)モデル / miRNA / 再発予測 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
近年、肺腺癌に対する化学療法の発展は目覚ましい一方で、肺非腺癌については満足できる治療法の開発には至っていない。そのため新たなアプローチによる肺非腺癌の克服に取り組むのが本研究である。細胞表面タンパクは、癌において機能的に重要な役割を果たしているだけでなく、その局在により、抗体などの免疫治療の直接的な標的として非常に有望である。そこでこの研究では、肺非腺癌の腫瘍組織または癌細胞から患者腫瘍組織移植(PDX)モデルを作成し、サーフェスオーム解析と下流の活性化シグナル解析に重点を置いた網羅的多層プロテオーム解析を行う。
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研究実績の概要 |
肺癌の中でも小細胞癌、大細胞癌や扁平上皮癌など非腺癌の5年生存率は45-60%と、腺癌と比較して明らかに予後不良である。ゲノム情報を中心に肺非腺癌の分子生物学的な知見は集積しつつあるものの有効な治療法の開発には至っておらず、革新的なアプローチによって肺非腺癌の克服に取り組む必要がある。本研究では、肺非腺癌の腫瘍組織から、患者腫瘍組織移植(Patient-derived xenograft; PDX)モデルを作成し、エクソーム解析とトランスクリプトーム解析に加えて、サーフェスオーム解析とリン酸化プロテオーム解析を行う。本年度も、昨年度に引き続き高度免疫不全モデルであるRag-2/Jak3二重欠損マウスを用いたPDXモデルの作成を中心に研究を進めた。現在までに肺癌110例から30例のPDXモデル作成に成功しており、その内訳は、肺非腺癌10例(小細胞癌3例、扁平上皮癌7例)、腺癌20例である。また、小細胞癌1例、扁平上皮癌5例、腺癌5例においてはPDXからPatient-derived cells (PDC)も樹立している。現在は、PDX作成を継続するとともに、肺非腺癌由来PDX腫瘍と比較対照となる肺腺癌由来PDX腫瘍のオミクス解析を進めている。また、並行して、国際共同研究として、肺腺癌と肺非腺癌の血漿miRNAプロファイルについてmiRNAマイクロアレイを用いて比較し、血漿miRNAシグネチャが早期肺腺癌の再発・予後予測バイオマーカーとして有用であることを明らかにした。本知見については学会報告を行い、また論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺癌におけるPDXの作成効率は他の癌腫に比較して低いことが知られており、本研究においても約25%の作成効率であった。そこで名古屋大学医学部呼吸器内科、呼吸器外科との共同研究体制を構築し、より多くの肺非腺癌PDXモデルを作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
肺非腺癌PDXモデルの作成を継続すると同時に、細胞株の樹立、病理学的評価に加えて、エクソーム解析とトランスクリプトーム解析、プロテオーム解析(サーフェスオーム解析とリン酸化プロテオーム解析)を進める。新規治療標的候補と考えられる細胞表面タンパク質分子については、愛知がんセンター分子診断TR分野が保有する肺非腺癌細胞株も用いて、その機能的重要性や制御機構について検討する。
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