研究課題/領域番号 |
21K08900
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
片岡 瑛子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00746919)
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研究分担者 |
寺本 晃治 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (10452244)
大塩 恭彦 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (60731916)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | がん間質線維芽細胞 / CD271 / 肺がん |
研究開始時の研究の概要 |
がん組織は、がん細胞と多種のがん間質細胞から成る複合組織であり、最も主要ながん間質線維芽細胞(CAF)は、がん細胞との相互作用によりがんの進展に影響を与えている。私たちは、これまでの研究で、神経成長因子受容体であるCD271が、肺がんのCAFで高発現し、予後不良と関連すること、CAFにおけるCD271の発現は、肺がん細胞から分泌される液性因子により誘導されることを明らかにしてきた。本研究により、CAFにおけるCD271の発現の誘導機序と機能を明らかにすることで、腫瘍細胞との相互作用を介した肺がん浸潤の機序を解明し、CAFを標的とした新たながん治療法の開発につなげたい。
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研究実績の概要 |
非小細胞肺がんの手術組織標本を用いて、原発巣と縦隔リンパ節転移巣のがん間質線維芽細胞(Cancer-associated fibroblasts: CAF)におけるCD271の発現を免疫組織染色により検討した。原発巣と比較して縦隔リンパ節転移巣でCD271の発現割合や高発現症例数が増加し、術後再発、静脈浸潤、リンパ管浸潤、無再発生存率低下と有意な関連性を認めた。さらに、肺扁平上皮がん症例と比較して肺腺がん症例において、CD271の高発現症例が多く、低酸素領域と思われる瘢痕・壊死の周囲にCD271高発現のCAFを認めた。 In vitroの検討において、非小細胞肺がん細胞A549の培養上清およびレコンビナントのTGF-β1の添加により、CAFにおけるCD271の発現が増強することを確認した。さらに、A549の培養上清およびレコンビナントTGF-β1の添加により、CAFの遊走能・浸潤能は促進し、CD271阻害薬としてγ-secretase inhibitorを用いることで、促進した遊走能・浸潤能はいずれも抑制された。増殖能に関しては有意な変化はみられなかった。γ-secretaseは、CD271の細胞内ドメインを切断しリガンド非依存性にシグナルを活性化するため、CAFにおけるCD271の発現は、CD271の細胞内ドメインを介してリガンド非依存性に運動能に関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
CAFと肺がん細胞との相互作用を介したCD271の機能を評価するにあたり、CAFにCD271をノックダウンする遺伝子導入実験が予定通り進んでおらず、本課題は遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子導入でのCAFにおけるCD271の発現抑制が難しい場合は、CD271阻害薬を用いて、CAFにおけるCD271の発現が肺がん細胞に及ぼす影響やその機序に関してin vitroの検討で明らかにする。in vitroの結果をもとに、CD271がCAF阻害薬として抗腫瘍効果を得られるのか、in vivoでも検討していく。
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