研究課題/領域番号 |
21K08904
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
田中 俊樹 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50457305)
|
研究分担者 |
村上 順一 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10725683)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 気管支断端瘻 / 血管新生 / 血流増加 / 成長因子 / サイトカイン / 細胞シート / 線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
気管支断端瘻は、肺切除の際に縫合閉鎖された気管支の断端が破綻する病態であり、致死的な術後合併症である。気管支断端の血流不足による不十分な組織治癒が気管支断端瘻の原因と考えられているが、有効な予防法は確立されていない。申請者の研究室では、独自に開発した積層線維芽細胞シートが血管新生促進作用により難治性皮膚潰瘍の治療に有効であることを報告している。本研究ではラット動物モデルで積層線維芽細胞シートを気管支断端へ移植することで気管支断端の血流が増加するかどうかを調べる。本研究は、積層線維芽細胞シートの移植による気管支断端の血流増強効果を証明することを目的としている。
|
研究実績の概要 |
創傷治癒、血管新生を促進する機能を有する積層線維芽細胞シートの移植による気管支断端の血管新生、血流変化の評価を行った。ラットの気管支断端に細胞シートを移植し、術後1、2、4週間目に標本を摘出した。摘出した気管支断端は、肉眼的には気管支断端を十分に覆う程度に新生組織が形成されていて、補強効果があるものと思われた。パラフィン切片を作製し、HE染色、Azan染色、抗CD31抗体での免疫染色を行ったところ、細胞シートを移植した気管支断端の周囲に新生された結合組織には多くの血管構造が含まれていることが判明した。これにより、細胞シートの移植により、気管支断端への血流が増加し、気管支断端瘻の発生原因である虚血が回避できる可能性が示された。血管構造の数は、細胞シートの移植後の時間経過では大きな変化はなく、術後1週間程度で血管新生は落ち着くのではないかと考えられた。気管支断端瘻の好発時期が、術後10日目程度との報告もあることから、それまでに血管新生が促進されているとの結果は、非常に有意義なものと考えている。この結果からは実際に気管支断端への血流自体が増加したとは示すことまではできないが、概ね想定していた結果を得ることができた。しかし、その次の段階として血流評価を計画していたが、2次元レーザー血流評価装置(OMEGAZONE)を用いて気管支断端の血流を定量的に測定しようと試みたが、心拍による振動の影響で測定が困難であった。そのため、評価方法を工夫する必要があり、現在も模索中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にも記載したが、2次元レーザー血流評価装置(OMEGAZONE)を用いた気管支断端の血流の定量的評価に難渋している。心拍による振動が影響して測定が困難であると考えており、測定方法を工夫する必要があり、現在も模索中である。
|
今後の研究の推進方策 |
細胞シートの移植による気管支断端の血流増加効果を直接的に評価するため、2次元レーザー血流評価装置と蛍光マイクロスフェアの2通りの方法で評価する。加えて、他家細胞シートでの移植実験に移行していく方針である。
|