研究課題/領域番号 |
21K08914
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
岡本 淳一 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10339377)
|
研究分担者 |
許田 典男 日本医科大学, 医学部, 講師 (60614758)
窪倉 浩俊 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80328799)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 胸腺腫組織型 / EMX2抗体陽性部位 / 組織内リンパ球による影響 / 幼弱なリンパ球 / 胸腺腫 / EMX2 / WNTsの制御 / 病理型 |
研究開始時の研究の概要 |
EMX2の抑制によりWNT signalingを活性化することで、胸腺腫の浸潤性が強くなるのではないか?そしてその変化が組織型に関連するのではないか?と考えた。遺伝子発現に伴う胸腺腫病理型の変化と予後に関連した研究は学術的独自性と創造性がある研究である。
|
研究実績の概要 |
EMX2の抑制によりWNT signalingを活性化することで、胸腺腫の浸潤性が強くなる可能性があり、そしてその変化が組織型に関連すると考えた。 「胸腺腫における病理型の分子生物学的背景を確認し、EMX2とWNTsの発現が胸腺腫細胞の浸潤性獲得に関わっている」ことの確認が目的である。まず組織アレイの結果を改めて病理医と分析をした。その後の組織標本への染色結果からは、EMX2はAやB1胸腺腫も含め腫瘍細胞における発現はみられず、むしろ癌のごく一部で発現が認められることが分かった。一方、胸腺腫で随伴する幼弱なリンパ球に陽性であった。B1型やB2型胸腺腫における腫瘍性上皮細胞においてはEMX2の発現は見られなかったが、A型胸腺腫および胸腺癌では弱い陽性像が認められた。「EMX2は腫瘍抑制的に働く」と予測していたためA型胸腺腫の陽性はreasonableであると思われたが、予後の両極端な胸腺癌での陽性像は解釈が難しく、非特異的反応の可能性も考えられた。B3型胸腺腫については明瞭な陽性を示す細胞が散在性に認められた。腫瘍の進展により幼弱化を来した可能性があるが、胸腺癌症例において強陽性像がないことから一元的な説明は困難であった。β-cateninの核内発現をWNT経路のサロゲートマーカーとして使用したが、核内発現を示す症例は正常~胸腺癌のいずれにも認めなかった。以上から腫瘍細胞のEMX2発現および進展に伴う変化は明らかではなかったものの、EMX2を含めた幼弱なTリンパ球による腫瘍の微小環境が腫瘍の進展に必要なのかもしれない。以上から微小環境が腫瘍内にWNT経路に影響を及ぼしていたかを確認すべく、下流遺伝子の発現を確認していく。併せて、EMX2は幼弱なTリンパ球のマーカーとなり得るのかを確認していく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 1. EMX2抗体を用いたパイロットスタディ 2. EMX2-Wnt pathwayに関わり今回検討予定の抗体(cMYC, cyclin D1)の選定と陽性対象選定および免疫染色の条件設定 3. 対症患者リストを元にどの標本を免疫染色するかを再鏡検し選定している。 4. 昨年度までに結果を得た、EMX2が示す「幼弱なT細胞マーカー」となるかの確認(TdT)と、がん免疫との関係を免疫染色(PD-1等)にて確認する。まずは陽性対象選定および免疫染色の条件設定が必要 昨年度末までに今後免染するのに必要な物品は概ね購入が済み納品は済んでおり標本ブロックも確保予定はできている。免染の工程は再現性も含め専門性が重要なため、日常業務の合間をみて、臨床検査技師の業務が比較的忙しくないときにお願いしている。また、病理専門医の不足に伴い、通常業務に若干おされて遅れが生じていた。今後の、病理医が増員され、臨床検査技師の交替も済んだことから、研究推進がなされると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
日常業務の遂行が順調に推移するようになれば、併せて研究推進が進んでいくことが予想される。 今年度は抗体(cMYC, cyclin D1, TdT, PD-1)について免疫染色とその評価を行って統計的な処理を行い、さらに必要な免染を追加していくという方向で考えている。 現時点でEMX2と腫瘍の発生について直接的関係は胸腺においては乏しいと思われるため、方向性を変えて、胸腺における幼弱なTリンパ球(TdT陽性、CD1a陽性)においてEMX2の発現が見られることを証明する。即ち幼弱なT細胞の新たなマーカーとなる可能性を示していく。 可能な限り、早い時点で免疫染色を終了とし、データーをまとめていきたい。
|