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全脳虚血後海馬グリア細胞におけるTGF-β1/Smadシグナルの機能的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K08927
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分55050:麻酔科学関連
研究機関大阪公立大学 (2022-2023)
大阪府立大学 (2021)

研究代表者

中島 崇行  大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (30333644)

研究分担者 竹中 重雄  大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (10280067)
近藤 友宏  大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 講師 (40585238)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードアストロサイト / ミクログリア / 海馬 / 全脳虚血 / Smad / TGF-beta / TGF-β / グリア細胞
研究開始時の研究の概要

ミクログリアやアストロサイトは脳虚血後の脳内炎症反応の中心的役割を担う細胞である。脳梗塞の病態では炎症反応が病態悪化を招き、患者の予後に大きな影響を与えることから、炎症反応の制御に着目した治療法が注目されている。本申請者はこれまでに虚血後脳症病態モデルである全脳虚血ラットの海馬グリア細胞でTGF-β1/Smadシグナル活性が上昇することを見出した。このことは、グリア細胞内のTGF-β1/Smadシグナル調節による虚血後の脳内炎症反応制御の可能性を示唆している。本研究はグリア細胞におけるTGF-β1/Smadシグナルが虚血後脳症の病態軽減のための創薬標的となり得るのかを探る基礎的な研究である。

研究実績の概要

当初、酸素/グルコース除去(OGD)処置負荷ニューロン/グリア共培養細胞由来培養上清によるグリア細胞増殖能および各種サイトカインの産生レベルへのTGF-βの影響を調べる予定であったが、OGD処置負荷ニューロン/グリア共培養細胞由来培養上清を別に用意したグリア細胞に添加したとしてもグリア細胞の増殖や各種サイトカインの産生レベルの上昇を誘導することはなかった。そこで、実験系を変更して、ニューロン/グリア共培養細胞に直接OGD処置を負荷し、その後生き残ったグリア細胞の増殖や各種サイトカインの産生レベルの上昇を調べることとした。その結果、OGD後に生き残ったグリア細胞、とりわけアストロサイトの細胞増殖が亢進するとともに、iNOS遺伝子発現レベルが上昇することが明らかとなった。また、これまでの実験で、TGF-βシグナル阻害剤(TGF-β受容体キナーゼ阻害剤)であるSB525334がグリア細胞死を誘導する現象を見出したので、別のTGF-βシグナル阻害剤であるP144の添加によるグリア細胞死の誘導についても検討した。その結果、P144の添加によってもグリア細胞死が誘導された。ウシ胎仔血清を含まないグリア細胞培養上清液を別のグリア細胞に添加することでTGF-βの下流シグナルであるSmadがリン酸化(活性化)するが、このグリア細胞培養上清添加誘導性のSmadのリン酸化はSB525334の添加によって完全に抑制されることが明らかとなった。これらのことは培養グリア細胞自身がTGF-β/Smadシグナルを発し、このシグナルを自身の生存維持に利用していることを示唆している。さらに、グリア細胞へのSB525334添加によって発現レベルが変化する遺伝子群をRNAシークエンス解析によって調べたところ、細胞傷害性アストロサイトに関連する遺伝子の発現レベルが上昇することを示唆する結果を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初、TGF-βのOGD処置負荷ニューロン/グリア共培養細胞由来培養上清によるグリア細胞増殖能および各種サイトカインの産生レベルへの影響を調べる予定であったが、OGD処置負荷ニューロン/グリア共培養細胞由来培養上清を別に用意したグリア細胞に添加したとしてもグリア細胞の増殖や各種サイトカインの産生レベルの上昇を誘導することはないことが分かり、実験系の変更を余儀なくされたことで研究の進捗状況が遅れることとなった。さらに、今回TGF-βシグナル阻害がグリア細胞死を誘導するという前例のない現象に遭遇したため、再現実験を何度も行うなど慎重に実験を進めるとともに、研究計画として当初予定してなかったRNAシークエンス解析を行う必要が生じたことも研究の進捗が遅れたことにつながった。

今後の研究の推進方策

これまでに行ってきたin vitroの実験系を継続するとともに、ラット全脳虚血モデルを用いたin vivoの実験系を行う。
(1)初代培養細胞を用いたin vitro虚血模擬実験系
これまでの実験で、ニューロン/グリア共培養細胞に直接OGD処置を負荷することでOGD後に生き残ったグリア細胞、とりわけアストロサイトの細胞増殖が亢進するとともに、iNOS遺伝子発現レベルが上昇することが明らかとなった。そこで、TGF-βのOGD誘導性細胞増殖およびiNOS mRNA発現への影響について調べる。また、TGF-βシグナル阻害剤(SB525334)誘導性のグリア細胞死のメカニズムについて調べていこうと考えている。
(2)全脳虚血モデルラットを用いたin vivo実験系
TGF-βシグナルが全脳虚血後のグリア細胞にどのように影響するかを調べる。具体的には、全脳虚血処置を施したラットの脳室内にSB525334を投与し、その後、SB525334投与ラットと溶媒投与ラット間でGFAP陽性アストロサイトとIba-1陽性ミクログリアの出現数の変化を調べる。さらに、ラットの脳虚血を受けた後のラットの神経症状がSB525334によってどのように変化するのかについても調べる。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Oxygen-glucose deprivation-induced glial cell reactivity in the rat primary neuron-glia co-culture2023

    • 著者名/発表者名
      Inoue M, Tanida T, Kondo T, Takenaka S, Nakajima T.
    • 雑誌名

      The Journal of Veterinary Medical Science

      巻: 85 号: 8 ページ: 799-808

    • DOI

      10.1292/jvms.23-0175

    • ISSN
      0916-7250, 1347-7439
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The expression and phosphorylation of SMAD3 protein in microglia and astrocytes of the rat hippocampus after transient global cerebral ischemia2022

    • 著者名/発表者名
      Nakajima T, Tanaka Y, Takahashi Y, Kondo T, Takenaka S.
    • 雑誌名

      J Chem Neuroanat.

      巻: 125 ページ: 102146-102146

    • DOI

      10.1016/j.jchemneu.2022.102146

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 全脳虚血ラット海馬グリア細胞におけるTGF-β/Smadシグナルの活性とその役割2024

    • 著者名/発表者名
      中島崇行、和田優生
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 全脳虚血ラット海馬グリア細胞におけるSmadの活性とその役割について2022

    • 著者名/発表者名
      中島崇行
    • 学会等名
      第31回日本病態生理学会大会演題抄録
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 全脳虚血後の海馬グリア細胞におけるSmad3発現とリン酸化の経時的変化2021

    • 著者名/発表者名
      田中 勇気・中島 崇行
    • 学会等名
      日本獣医学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] 全脳虚血後の海馬アストロサイトにおけるSmad1/5/9発現とリン酸化について2021

    • 著者名/発表者名
      田中 勇気・中島 崇行
    • 学会等名
      日本獣医学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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