研究課題/領域番号 |
21K08932
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
濱田 宏 東京医科大学, 医学部, 教授 (10218539)
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研究分担者 |
東 俊晴 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 医師 (60284197)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ニューロキニン1受容体 / アプレピタント / ニューロキニン1受容体 / NK1R / がん関連血栓症 |
研究開始時の研究の概要 |
われわれは単球が構成的に発現しているニューロキニン1受容体(NK1R)が血液凝固活性の亢進に重要であることを見出した.さらにそのmRNAのスプライスバリアントである完全長NK1Rの全血中での発現を血栓塞栓症の周術期バイオマーカーとして提唱している.しかしがん患者の血栓性素因とNK1Rとの関連については明らかになっていない.本研究では「完全長NK1R遺伝子発現はがん性痛患者において血液凝固亢進のバイオマーカーとなりうるか」について調査する.本研究により,がん患者における血栓塞栓症発症の病態解明と,薬剤による予防戦略の提案が可能となり,がん患者の予後改善に大きな貢献ができると期待される.
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研究実績の概要 |
昨年度までヒト単球系細胞THP-1に完全長ニューロキニン1受容体(NK1R)は構成的に発現していないが、プラスミドを用いたエレクトロポーテーションにより同遺伝子がメッセンジャーRNAレベルで発現しうる事を確認していた。今年度はウェスタンプロットにより、たんぱくレベルでも完全長NK1RがTHP-1に発現しうる事が確認された。一方、生理的な細胞刺激でも完全長NK1Rが発現可能である事を確認するため、THP-1をリポポリ多糖LPSで刺激し同遺伝子が遺伝子ならびにたんぱくレベルで発現する事を確認した。 これまで単球が関与する凝固活性亢進に関連する分子機構としてアポトーシス誘導とそれにともなうホスファチジルセリンの細胞膜表出に注目してきた。しかし今回、THP-1から切り出される小胞に組織因子が発現していることに着目し、細胞上清の組織因子活性を測定したところ、アポトーシス誘導刺激のひとつである低温刺激により組織因子放出が亢進する事が確認された。またフローサイトメトリーを用いた観察により、組織因子を発現した小胞は、アポトーシス小胞と異なる小胞である事が確認された。 さらにトロンビン受容体を活性化する薬理作用を持つTrap-6でTHP-1を刺激し、上記測定系で細胞上清中の組織因子活性を観察したところ、Trap-6は組織因子活性を増加する事が確認できた.また臨床的に使用可能なNK1R受容体阻害薬であるアプレピタントがTrap-6が惹起する組織因子活性増加を抑制する事も確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者である東俊晴の主たる業務が感染症に特化した研究開発型医療センターの手術関連診療部門長であることから,2022年の新型コロナウイルス感染第7波ならびに第8波への対策にエフォートの多くを割かざるを得なかったため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の当初の仮説では,単球由来凝固活性の亢進に完全長NK1Rの発現誘導が関与するとしていたが,単球に構成発現している不完全NK1Rも単球由来凝固活性の亢進に有意に関与していることが確かめられた.今後,完全長NK1Rが単球由来凝固活性をさらに更新するか否かについて検討を進めつつ,観察されたNK1Rを介する分子機構ががん関連血栓症に影響を与えていることを臨床研究により確かめていく予定である.
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