研究課題/領域番号 |
21K08937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
大久保 正道 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70581495)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 後根神経節 / 術後痛 / 脊髄後角 / 疼痛 / 血小板由来増殖因子 / 感覚神経 / P2X3 / カルシウムイメージング / TRPV1 |
研究開始時の研究の概要 |
術後痛は手術による創傷の治癒過程に生ずる急性痛である。血小板由来増殖因子(PDGF)は、創傷治癒に重要な役割を果たすことは広く知られているが、痛みとの関連については不明な点が多い。本申請は感覚神経でのPDGF/PDGFRシグナルと術後痛、急性痛との関連性を明らかにすることを目的とした。組織学的手法にて感覚神経に発現するPDGFRの詳細な亜集団解析と生理学的手法による機能解析の両面からPDGFRが受容する感覚の特異性と役割を明らかにする。本申請課題の結果を臨床、特に周術期医療へ還元し的確な術後痛マネジメント法の発展に貢献することを目標とする。
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研究成果の概要 |
後根神経節(DRG)におけるPDGFRの発現と痛み受容への関連を検討した。ISHの結果、PDGFRαは、小型、中型、大型のneuronにそれぞれ15%程度、PDGFRβは、小型neuronに多かった。ISHと免疫組織化学の二重標識により、P2X3の約40%に発現した。足底へPDGF-BBとαβ-MeATPを投与すると疼痛行動が有意に増強した。このラットの脊髄後角c-fos発現細胞数は有意に増加した。感覚神経のCa2+imagingにおいてPDGF-BBはαβ-MeATPの応答を有意に増加させた。 PDGFRはP2X3の興奮性を上げ、末梢神経における痛覚受容を修飾する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
感覚神経におけるPDGFRsの役割は不明であったが、本研究でその役割の一端が明らかになった。具体的には、PDGFRsはそれぞれ一部の感覚神経が持っており、特にPDGFRβは痛みを伝えるとされる小型のニューロンに特異的に発現した。これらの成果は、PDGFが疼痛受容メカニズムの一つとして提案したこととなり、本研究が学術的な意義を持ったものであったと考えられる。また、創傷治癒過程で重要な役割を果たすPDGFが痛みに関与し得るという研究成果は、術後痛の発症メカニズムの理解を深め、術後痛緩和に向けた今後のマイルストーン研究となったことが社会的意義であると考えている。
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