研究課題/領域番号 |
21K08940
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
川田 大輔 旭川医科大学, 医学部, 客員講師 (30595773)
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研究分担者 |
神田 浩嗣 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (00550641)
神田 恵 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50516820)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | GAD67 / GABA / 遺伝子治療 / ウイルスベクター / 痛み / アデノ随伴ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまでに遺伝子治療が神経障害性疼痛に有効であることを示してきた。今までの成果を踏まえて本研究では、神経組織をターゲットとして目的遺伝子を発現させるアデノ随伴ウイルスベクターによる遺伝子治療が、初代培養後根神経節細胞および疼痛モデルに及ぼす影響とその機序を解明する。本研究で予想される結果は、遺伝子治療が神経障害性疼痛へ与える影響と機序を明らかにするだけではなく、難治性疼痛の新規治療法の開発と臨床応用に繋がる可能性を持ち、疼痛患者のQOLと治療成績の向上に寄与することが出来ると考える。
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研究実績の概要 |
近年の医学の発展により遺伝子治療は多くの領域で注目されており、中でもウイルスベクターを用いた遺伝子治療は、がん治療、代謝疾患、神経疾患等の分野で臨床応用が既に開始している。しかしながら痛みに対する遺伝子治療は未だに確立されていない。我々は今までに痛みの遺伝子治療の有用性や神経障害性疼痛の機序を解明する研究成果を報告してきた。本研究はグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)67を発現させ脊髄後角のγ-アミノ酪酸 (GABA) 合成を促進するウイルスベクターを用いた遺伝子治療の有用性を明らかにし、その鎮痛機序を解明することを目的としている。本研究ではまずはじめにGABA産生の促進のためGAD67を導入するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを作成した。AAVベクターには神経細胞特異的に標的遺伝子を発現させるためのプロモーターを装備させ、神経組織でのみGABA産生が促進する機能を付加している。次に作成したAAVベクターの機能評価を行った。機能評価には初代培養神経細胞および実験動物(ラット)を用いた。緑色蛍光タンパク質(GFP)をサイトメガロウイルス(CMV)またはシナプシンⅠ(SYN)プロモーター制御下で発現するAAVベクター(CMV-AAVベクターおよびSYN-AAVベクター)を作成した。この2種のAAVベクターをラットに髄注しPCR法及び免疫染色法を用いて脊髄における導入遺伝子の発現を調べた。PCR法において、CMV-AAVベクター投与群およびSYN-AAVベクター投与群の両群で、ラット脊髄でのGFP発現が誘導された。免疫染色法では、SYN-AAVベクター投与群でのみ神経細胞に特異的なGFP発現が認められた。本研究により、SYNプロモーターを持つAAVベクターは、ラット脊髄の神経細胞へ特異的に標的遺伝子を導入する性質を持つことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の研究概要に記述したとおり、SYNプロモーターを持ったアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、ラット初代培養神経細胞に加えてラット脊髄においても神経細胞特異的な遺伝子発現を誘導し、神経組織でのみGAD67遺伝子を導入することが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
作成した神経細胞特異的な遺伝子導入を可能にするアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを1疼痛モデルラットに髄注して、痛みの遺伝子治療を行う。行動解析により疼痛閾値を計測し、ウイルスベクターを用いた疼痛治療による影響を経時的に調べていく。鎮痛効果ならびに、鎮痛効果の分子生物学的機序を解明する。
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