研究課題/領域番号 |
21K08941
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
上野 伸哉 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00312158)
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研究分担者 |
古川 智範 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60402369)
櫛方 哲也 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80250603)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | GABA-A受容体 / 受容体トラフィッキング / 受容体リン酸化調節 / 麻酔薬 / 受容体リン酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
1)GABA-A受容体の脱リン酸化阻害による受容体トラフィッキング制御、およびトラフィッキングによる麻酔効果の調節機構を培養細胞系にて解析する。可視化したGABA-A受容体を発現する培養細胞系を用い、GABA-A受容体のリン酸化部位に変異導入による受容体トラフィッキング変化、麻酔薬効果を解析し、麻酔効果にかかわるリン酸化部位の特定とGABA応答制御にかかわるトラフィッキング機構を探索する。2)GABA-A受容体に結合してトラフィッキング調節に関わるタンパク質の探索を行う。3)変異導入した改変動物の作製し、麻酔作用を評価する。
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研究実績の概要 |
前年度に確立したNeuro2Aの安定発現細胞株を用いて、パッチクランプ条件下にてGABAによる電流応答および麻酔薬の修飾効果を解析した。安定発現細胞株はbeta3サブユニットのS408/9部分をアラニン置換したS408/9A mutantとグルタミン酸に置換したS408/9E mutantの2種類を作成した。前者は脱リン酸化、後者はリン酸化に相当する変異導入となる。これらbeta3サブユニットと、alpha1とgamma2サブユニットを共発現させ解析した。 すべて野生型であるalpha1, beta3およびgamma2サブユニットを共発現させた細胞株の反応をコントロールとして比較検討した。beta3(S408/9A )mutant サブユニットを含むGABA-A受容体はGABA投与に反応し、抗不安薬diazepamや麻酔薬propofol存在下でGABA応答は増強した。対照的にbeta3(S408/9E)mutantサブユニットを含むGABA-A受容体は応答が減弱した。 免疫組織学解析によりbeta3(S408/9A )mutant サブユニットを含むGABA-A受容体はコントロールと同様形質膜に分布しているが、beta3(S408/9E)mutantサブユニットを含むGABA-A受容体は形質膜へ分布していないことが明らかとなり、電気生理学的結果を支持するものであった。これらのことよりbeta3サブユニットのS408/9部位リン酸化が受容体トラフィッキングを制御していることが示唆された。 さらにトラッフィキング関連のタンパク質探索のため、HEK293細胞にbeta3の野生型S408/9、S408/9A mutantおよびS408/9E mutantをそれぞれ発現させ、HA-tagを利用し免疫沈降をおこなった。コントロールには見られない特異的バンドを切り出して質量分析を行い、相互作用するタンパク質を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)前年度に確立した安定発現細胞株をもちいて GABA-A受容体の応答を解析し、リン酸化がそのGABA応答の変化、麻酔薬の感受性に影響を与えることを明らかとした。 2)beta3サブユニットのリン酸化部位の修飾により、GABA-A受容体の細胞内分布が変化することを、免疫組織学的にしめし、本研究で変異を導入した部位がトラフィッキング調節にかかわっていることを明らかとした。 3)リン酸化部位に変異を導入した受容体と野生型の受容体を発現させ、免疫沈降を行い、コントロールには見られない特異的バンドを複数個見出している。新たなトラフィッキング制御タンパク質発見、トラッフィキング制御機構の解明プロジェクトにつながるものである。
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今後の研究の推進方策 |
1)免疫沈降によって見出されたコントロールには見られない特異的バンドの質量分析を行い、タンパク質の同定を進める。 2)上記1)の産物を同定し、免疫沈降でGABA-A受容体との相互作用を確認する。 3)相互作用が確認できた産物をsiRNAによりノックダウンを行い、GABA-A受容体の分布と電流応答を解析する。トラフィッキング機構のどの過程に関係しているかを評価する。
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