研究課題/領域番号 |
21K08946
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
長瀬 清 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (90345786)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 体温管理 / 周術期ビッグデータ / ケアプロセス / 臨床指標 / 周術期 医療 / ビッグデータ |
研究開始時の研究の概要 |
(1)術後日数と体温推移の関係から回復遅延のリスクとなる術後体温上昇の条件。術後体温の上昇は日常生活自立度や摂食開始など術後回復において、他の因子と比較して極めて大きな影響があることを明らかにしている。しかし術後早期リハビリテーション導入や早期栄養介入管理などチーム医療の影響や、ロボット手術など低侵襲手術導入の影響は定量できていない。 (2)術後の日常生活自立度の改善に影響を及ぼす因子の探索。年齢、術前の日常生活自立度、手術時間、術後痛の大きさ、リハビリテーションの介入次期など項目についてその関連を調べる
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研究実績の概要 |
今回の研究「周術期医療の質をケアプロセスの視点からビッグデータの利活用で探索する臨床指標」では、具体的に周術期体温管理の視点からそのアウトカムを抽出する研究と、入退院支援により患者の退院に向けたリスク評価を適切に実施する仕組み作りをテーマとして選んでいる。 残念ながら当院は23年1月に医療情報システムが入れ替えとなり大幅に改訂されたため、その対応のために上記研究がすべて停滞している。特に医療情報システムが更新されると業務の記録が全て一新されるため、体温と医療の質に関わる項目ではデータベースの一貫性がなくなり、今までの記録が活用できなくなった。 今後は再度、現在の業務フローとそれに対応する医療情報システムの仕様を理解した上で、一からDWHを構築する必要がある。 一方で、入退院支援に関する研究がすすみ、人工知能を用いて入院時情報シートから退院リスクスクリーニングが自動記入できる仕組みを構築し、学会発表している。この分野はこれからのPFM: patient flow management において極めて重要な分野であるため、今回の研究から派生した成果として将来性が期待できる。これは、入退院支援加算に伴う問診情報(入院時情報シート)から、退院リスクスクリーニング表の作成や、更に退院療養計画書の作成までを二段ステップでAI化する手法を用いている。特異度が非常に高く実用的なレベルに到達している。一方で当院の入退院支援における問診において栄養管理の情報が少ないことがAIの特異度が低いことから判明した。このようにAIを用いると業務改善だけでなく、問診の質も可視化するため、様々な臨床指標として活用できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療情報システム更新に伴うDWH構築、業務内容の精査、さらにその業務を管理するクリニカルパスの精査など、医療情報システムと業務が安定稼働して初めてDWHに正しい情報が格納できるようになる。新しい医療情報システムは臨床の使用感や扱いやすさが大幅に低下し、特定の狭い分野だけを使いこなすには十分だが、多数の領域を網羅する解析には耐えない。情報が散逸して記録されるため、臨床業務が正しく記録できているのか、どこに記録されているのか確認することも困難である。精度さえ担保されているか不明であり、このような研究推進に支障を来している。つまり情報連携が悪く、また多職種協働に配慮した仕組みが全くないため、このような医療情報システムを活用した医療の質向上の研究には、相当の困難が伴うことが判明した。 とはいえ、医療情報システムの仕様を十分に理解することが求められるため、研究を進捗させるよりも、医療情報システムの機能への理解やその対策が何よりも優先して求められる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今までの知見についてDWHを活用した研究継続には相当の時間がかかると思われる。 そこで人工知能を用いて入院時情報シートから退院リスクスクリーニングが自動記入できる仕組みについて、今までの知見を入退院支援業務にも応用したい。PFMへの応用は、体温管理とともに、患者の早期回復や早期退院につながるため、医療の質向上を目指したケアプロセスの視点からデータの利活用で探索する臨床指標という意味では、同じ価値があると考えている。
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