研究課題/領域番号 |
21K08956
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
中村 紗英 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50899383)
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研究分担者 |
木田 康太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70385318)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 一酸化窒素 / 蘇生後記憶障害モデル / 心肺蘇生モデル / 海馬アポトーシス / 蘇生後記憶障害 / 一酸化窒素吸入 |
研究開始時の研究の概要 |
心肺蘇生後の一部の患者では蘇生後記憶障害が発症することが分かっている。本研究では一酸化窒素(NO)吸入の蘇生後記憶障害に対する予防効果を検証し、またその作用メカニズムを生体および分子レベルで解明し、蘇生後の高次脳機能障害に対する新しい治療法を開発する。 本研究の成果によりNO吸入を用いた新しい治療が臨床に応用された場合のインパクトは大きいものであると予想される。NOは既に長年にわたる臨床使用実績があり、吸入デバイスも完成されている。NO吸入による新規治療により、蘇生後の患者の社会復帰を改善することができれば、患者のQOL改善だけでなく労働力喪失、医療費削減による経済損失の回避が期待できる。
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研究実績の概要 |
突然の心停止は先進国において主要な死因である。蘇生法の進歩にも関わらず、心停止の誤の死亡率は依然として高いままであり、仮に生存した場合にも多くの患者には障害が残る。一部の患者には記憶障害、注意障害、注意機能障害などの高次機能障害が残ることが知られているが、蘇生後高次脳機能障害の動物モデルは存在せず基礎研究も進んでいない現状がある。 我々はマウスを用いて心停止・心肺蘇生モデルを作り、自己心拍再開後に一酸化窒素(NO)を吸入することにより脳浮腫が軽減することを発見した。また、予備実験の結果から蘇生後のマウスでは記憶が障害されていることが明らかになった。 以上のことより、本研究の目的はNO吸入による蘇生後の記憶障害に対する予防効果を検証する事である。これまでに蘇生後の記憶障害モデルは存在せず、短時間の心停止によるマウス蘇生後記憶障害モデルを確立できれば、この後の基礎研究の発展に貢献できると考えられる。さらにNO吸入により記憶障害の改善効果が認められれば、新しい治療戦略として臨床応用に繋げることが可能である。 一昨年は手術手技の獲得を目標としたが、昨年度はマウス蘇生後記憶障害モデルを安定して作製することを目指した。手術手技(挿管、動脈/静脈カテーテル確保)の安定、体温保持、麻酔開始から心停止までの時間および、心停止から蘇生での時間の均一化などに努めモデルとしての均一化を図った。一部のマウスは不潔手技による敗血症で死亡したが、概ね安定した心停止・心肺蘇生モデルの作製を行えるようになった。 今年度は心停止・心肺蘇生モデルに対してMorris water maze testにて記憶障害の評価を行い、モデル間での意識障害の程度の定量化および実際にNO吸入を行い効果の評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の目標はマウス蘇生後記憶障害モデルを安定して作製することであった。手術手技(挿管、動脈/静脈カテーテル確保)の安定は得られたが、塩化カリウム投与後の実際の心停止から心拍再開するまでの心臓マッサージ手技は、速さや回数、心臓マッサージを行う深さなど人為的な要素が多く、安定した手技の獲得に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では安定したモデル作製が可能となったため、今後はMorris water maze testを行い蘇生後記憶障害の評価、および定量化を行っていく方針である。
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