研究課題/領域番号 |
21K08958
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
上林 卓彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (10273640)
|
研究分担者 |
岩崎 光生 関西医科大学, 医学部, 講師 (80528365)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 移植 / 脳死 / 臓器保護 / 心不全 / 心筋保護 |
研究開始時の研究の概要 |
脳死発生時にはカテコラミンの大量放出に引き続き炎症反応、サイトカインや活性酸素の増加などがおこり、臓器が障害される。その後、心機能障害と交感神経刺激の消失から心拍出量が低下し、低灌流により臓器障害が助長される。 脳死患者の循環管理には経験的に血管収縮薬や強心薬による血圧や臓器血流の維持が試みられているが、その臓器保護に関する有用性についてはほとんど報告がない。 近年、非カテコラミン系の新規心不全治療薬の研究が進んでいる。今回の研究では、これらの薬剤が脳死モデルラットの循環動態の安定化に有用か、また心機能の維持・または改善に効果があるかを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、ポジティブコントロール群としてのデクスメデトミジンの効果を確認した。 デクスメデトミジン5μg/kg/hの持続静脈内投与によって、脳死360分後でも心停止することなく、左室駆出率・dp/dt maxをコントロール群に比べて高く維持することができた。 デクスメデトミジンの投与量を0.1, 0.3, 1, 2.5, 5,10μg/kg/hを投与し、心機能保護効果を比較した。 脳死360分後でも心停止しなかったラットはそれぞれ57%、67%、86%、86%、100%、60%となった。デクスメデトミジン5μg/kg/hの投与で心機能が保護されていた。 α2受容体拮抗薬であるヨヒンビンを投与することでデクスメデトミジンの心機能保護効果が消失する傾向にある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デクスメデトミジン5μg/kg/hの持続静脈内投与によって、脳死360分後でも血行動態が維持できることがわかった。 現在、ヨヒンビンによるデクスメデトミジンの効果の拮抗実験を行っており、デクスメデトミジンの作用の特異性が明らかになりつつある。 次年度は他の心不全治療薬を投与して、脳死ラットの心機能への影響をデクスメデトミジンと比較して調べることができると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
心不全治療薬であるlevosimendan, omecamtiv mecarbi, cimaglermin alfa, urocortin-2, empaglifozinを投与して、脳死導入後の血圧、脈拍、左室駆出率、dp/dt maxの経時的な変化を測定する。 また、各心不全治療薬を投与した脳死ラットにアドレナリン10μg/kgを静脈投与することで不整脈を誘発し、アドレナリン投与後3分間で発生した不整脈の種類・頻度・持続時間を比較する。 デクスメデトミジン群と同等以上の心機能保護、抗不整脈作用をしめした薬剤について、投与した群の左心室の心筋組織を採取する。ウエスタンブロッティングを行い、PI3kinase-Akt経路に関わるタンパク質の発現・リン酸化を定量し、コントロール群と比較することにより各種薬剤の強心作用・心筋保護作用に関与するメカニズムを明らかにする予定である。
|