研究課題/領域番号 |
21K08960
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
原 幸治 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (20331001)
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研究分担者 |
寺田 忠徳 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10399206)
原西 保典 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90449942)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 中枢神経 / スフィンゴシン1リン酸受容体 / 脳室内投与 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性痛の原因である神経障害性疼痛の治療薬は有効性が低く、重大な副作用が現れやすい。副作用が少ない薬物は痛みの伝達経路に限定して作用する必要がある。細胞膜成分に由来するスフィンゴシン1リン酸(S1P)はその受容体が痛み伝達経路の細胞に存在していて痛みの主な原因物質であるグルタミン酸の放出を調節している。神経障害性疼痛を発現させたラットを使ってS1P受容体の働きを調節する物質が鎮痛作用を示すかどうか検討する。
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研究実績の概要 |
脳内スフィンゴシン1リン酸受容体サブタイプ1(S1P1)の侵害受容伝達における生理的役割について検討した。Bennett and Xieの方法で、末梢性神経障害性疼痛モデル(CCI)を作製した。雄Sprague-Dawleyラットを三種混合薬の腹腔内投与による麻酔下に左側大腿骨上の皮膚を切開し、坐骨神経を4.0-silk糸で4箇所緩く結紮した。処置後4日目から左側下肢に機械・熱・冷痛覚過敏が出現した。薬物を脳室内に投与するためラット右側脳室に22G のステンレス製ガイドカニューレを頭頂骨より4.0 mm 挿入し、頭部に固定した。処置から7日後に29G の注入用カニューレをガイドカニューレに挿入し、薬物群としてS1P1受容体の機能的阻害薬であるFTY720(100-500μg)、別のS1P1受容体阻害薬であるEx26(100μg)、S1P1受容体作動薬であるCYM5442(100μg)を、コントロール群として溶媒の50%DMSO溶液を10μL投与した。投与30、60、120、180、240分後に①フォン・フライ試験(機械痛覚過敏の評価)、②プランター試験(熱痛覚過敏の評価)、③コールドプレート試験(冷痛覚過敏の評価)を行った。その結果、FTY720は用量依存性に①で痛覚閾値を上昇させ、③で逃避反応潜時を延長させたが、②の逃避反応潜時には影響を与えなかった。Ex26はFTY720と同様に①の痛覚閾値を上昇させ、③の逃避反応潜時を延長させたが、②の逃避反応潜時には影響を与えなかった。一方、CYM5442は①で痛覚閾値を低下させ、③で逃避反応潜時を短縮させた。以上の結果から脳室内に投与したS1P1受容体阻害薬は機械および冷痛覚過敏を抑制し、作動薬は増強させることが分かった。脳内のS1P1受容体は脊髄の受容体と同様に侵害受容伝達の調節に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳内におけるスフィンゴシン1リン酸受容体サブタイプ1(S1P1)の阻害薬と作動薬の痛覚閾値への影響を調べることにより、S1P1受容体が脊髄の受容体と同様にその刺激が促進的に、阻害が抑制的に侵害受容伝達を調節することが分かったため。
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今後の研究の推進方策 |
S1P2、S1P3、S1P5受容体サブタイプの作動薬と阻害薬を髄腔内投与し、S1P1以外の受容体サブタイプが脊髄で侵害受容伝達の調節に関与しているか検討する。髄腔内投与に続いて脳室内投与により脳内での各受容体サブタイプの阻害薬および作動薬の作用を調べる。加えてS1P1受容体サブタイプについては脳室内投与により不安・抑うつ症状に対する抑制作用が発現するかオープンフィールド試験を行い検討する。これらにより全てのS1P受容体が神経障害性疼痛に対して中枢神経系でどのように作用しているかについて総合的な理解が可能となる。全ての実験手法はこれまでに実施したことがあり、研究成果の発表も行っている。
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