研究課題/領域番号 |
21K08962
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 泉 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (70624196)
|
研究分担者 |
神田 浩嗣 旭川医科大学, 医学部, 客員准教授 (00550641)
神田 恵 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50516820)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | HIV関連神経障害 / 漢方治療 / 遺伝子治療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、HIV関連神経障害モデルラットに漢方薬を投与し、脊髄後角の検体を用いて分子生物学的に鎮痛機序を解明する。さらに遺伝子治療を併用することで相乗効果をもたらすという仮説について明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究では、HIV感染患者にアンケート調査を行い、HIV関連神経障害の特徴や本邦におけるHIV感染の現状について調査する。また、HIV関連神経障害性疼痛モデルラットに漢方薬を投与し、動物行動学および分子生物学的に効果を確認し、さらに遺伝子治療を併用することで相乗効果をもたらすという仮説について明らかにすることを目的とする。最終的にはこれらの調査結果をHIV関連神経障害性疼痛に対する治療に臨床応用する。 HIV感染患者へのアンケート調査については目標症例数を達成したため2021年度でアンケートの募集を終了し、集計、統計解析を行っている。過去の学会で本邦のHIV感染者が何らかの痛みを有する割合は35%程度であることを報告した。2023年度はロジスティック回帰分析等を用いて更に解析を進め、本邦におけるHIV関連神経障害性疼痛の有病率は16%であり、また、その関連因子として「しびれの存在」、「年齢」、「HIV-RNA量」が挙げられることを明らかにした。 HIV関連神経障害モデルラットを用いた調査については、これまでにモデルラットに漢方薬である牛車腎気丸を投与し、動物行動学的試験において疼痛閾値が改善することを確認した。また、γ-アミノ酪酸(GABA)合成の重要な酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼ67(GAD67)の脊髄後角における発現をWestern blottingを用いて調べたところ牛車腎気丸の投与によりGAD67発現の回復が認められ、牛車腎気丸がHIV関連神経障害性疼痛を軽減するメカニズムには脊髄後角におけるGAD67発現の回復が関与する可能性があるという結果が得られた。2023年度においてはWestern blot法および免疫染色法を用いてその詳細なメカニズムを検討することを目標とし、予備実験を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HIVアンケートについては結果の解析を進めることができた。また、HIV関連神経障害モデルラットを用いた調査については、これまで採取したラット脊髄をサンプルとした予備実験を行い、一定の結果を得ることはできたが、臨床業務等他業務の多忙や研究分担者・協力者の異動などで、多くの動物を使用して一定の期間を必要とする実験の予定が立てにくかったため思うように進められず、発表用のデータの取得には至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
本邦におけるHIV感染症の現状やHIV関連神経障害性疼痛の実態についてのアンケート調査については、まずは2024年6月の学会で報告を行い、さらに解析を進めた上で論文等での報告を行う予定である。 HIV関連神経障害モデルラットを用いた牛車腎気丸の疼痛への効果についての詳細なメカニズムの検討については、予備実験での結果を参考に、Western blot法、免疫染色法、質量分析法を用いて調査を進める。その後、漢方治療に遺伝子治療を組み合わせることによるHIV関連神経障害への相乗効果の検討を行う予定である。
|