研究課題/領域番号 |
21K08966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
浅野 伸将 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (30456470)
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研究分担者 |
新谷 則之 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (60456473)
熊倉 康友 山梨大学, 大学院総合研究部, 臨床助教 (00530130)
石山 忠彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90293448)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 気腹 / 脳微小血管 / 脳浮腫 / 脳微小循環 / 腹腔鏡手術 / 脳保護 / 脳循環 |
研究開始時の研究の概要 |
近年腹腔鏡下手術は増加しており、極度の頭低位もしくは頭高位で長時間手術を行うことが増えている。手術体位に伴うと考えられる、脳灌流圧の低下、頭蓋内圧上昇、脳浮腫などの合併症が報告されているが、手術体位が脳血管や脳組織に直接与える影響の報告は少ない。 脳血管は麻酔薬や、血中の二酸化炭素分圧に影響することがわかっている。しかし、極度の頭高位、頭低位でどのような麻酔薬を選択するべきか、二酸化炭素分圧をどう調整するべきかわかっていない。 本研究の目的は、臨床に即した腹腔鏡下手術の再現を行い、腹腔鏡手術の頭高位、頭低位 が脳血流および脳組織に与える影響と、至適な麻酔方法を解明することである。
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研究実績の概要 |
腹腔鏡手術で極度の頭低位が直接的に脳に対しどのような影響を与えるのか検討した。近年増加している腹腔鏡手術では長時間の頭低位、気腹による合併症が報告されている。頭低位により、脳還流圧の低下、頭蓋内圧の上昇、脳浮腫が起こることが報告されているが、脳循環に対する直接的な影響を調べた報告は少ない。腹腔鏡手術で極度の頭低位が脳循環に与える直接的影響を調べるため、ニホンシロウサギを用いて、極度の頭低位での腹腔鏡手術を再現し、脳血流と脳組織を調べてきた。 実験結果として、気腹中は脳血管が拡張し平均血圧が上がっていることから、気腹中は血流が増加していることが示唆された。実験終了後脳組織を採取し、脳浮腫の程度を調べたがいずれも有意差を認めなかった。2時間の気腹頭低位では脳浮腫に影響を及ぼさないことが示唆された。 頭低位で脳浮腫が起こるという報告は存在している。浮腫が起こる原因は、血管内皮のグリコカリックスの構造が破壊された結果起こるということが考えられており、脳浮腫も同様にグリコカリックスの構造破綻のため引き起こされる可能性が考えられることから、長時間頭低位にしたのちの脳血管の構造を電子顕微鏡で観察することにした。長時間頭低位にしたのちも、脳血管の構造は変化していないという結果になった。 さらに、グリコカリックスのバイオマーカー(シンデカン1・ヘパラン硫酸)の血清濃度測定を行い、血管内のグリコカリックスが変化しているのかを調べた。分析は次年度に行う予定をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
浮腫が起こる原因は、血管内皮のグリコカリックスの構造が破壊された結果起こるということが考えられており、脳浮腫も同様にグリコカリックスの構造破綻のため引き起こされる可能性が考えられることから電子顕微鏡で観察することにした。しかし電子顕微鏡で脳組織を観察することが想定上に時間を要してしまったことが実験がやや遅れた原因である。 時間を要したものの、実験を遂行することができたことから、次年度はELISAを行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
すでに前年度までの実験でウサギの血漿は採取できている。これを使用して、グリコカリックスのバイオマーカー(シンデカン1・ヘパラン硫酸)の血清濃度測定を行い、血管内のグリコカリックスが変化しているのかを調べていくこととする。
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