研究課題/領域番号 |
21K08971
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
河野 崇 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (40380076)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 慢性痛 / 神経障害性痛 / 高齢 / 加齢 / ミクログリア / 術後せん妄 / 認知機能 / 脳内神経炎症 / 痛覚過敏 |
研究開始時の研究の概要 |
脳内神経炎症は, ミクログリアから過剰なサイトカインが放出された状態で, 脳内での自然免疫反応のほか, 全身炎症, 痛み, ストレスでも誘導される。ミクログリアは加齢により免疫反応性が亢進し, 認知機能障害やうつ病の原因となるが, 加齢に伴う慢性痛における役割は明らかではない。本研究では, 高齢動物における慢性痛と関連する神経認知障害の共通した病態機序としての脳内神経炎症の役割を明らかとすることにより, 脳内神経炎症を標的とした安全で有効な高齢者慢性痛の治療開発の可能性を検討することを目的とする。
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研究成果の概要 |
神経障害性痛モデル(SNL)ラットを用いて、加齢が痛覚発症機序に与える影響を検討した。若年ラットは高齢ラットと比較して、刺激による痛覚過敏様行動の発生頻度が高かった。障害神経繊維の刺激反応性には年齢差はなかったことから、加齢による痛み増強は上位中枢機序が関与すると考えられた。次に、SNLラットの海馬でのBDNF発現およびサイトカインレベルを検討した。その結果、SNL手術により、高齢ラットでは若年ラットと比較して海馬BDNF発現が有意に低下し、炎症性サイトカインの上昇が生じていた。また、海馬BDNF発現量および炎症性サイトカインレベルが痛覚過敏様行動の発現頻度と有意に相関していることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高齢者の慢性痛はQOLを大きく損なうだけでなく、認知障害や抑うつなどの神経認知異常の引き金ともなる。今回、我々は高齢者の慢性痛の代表である神経障害性痛の病態において、脳由来神経栄養因子(BDNF)の低下および脳内神経炎症が重要な役割を果たしていることを明らかにした。特に、BDNFは加齢とともに低下し、ミクログリア機能にも影響を与えることから、高齢者の慢性痛の症状に共通する機序として脳内神経炎症が関与していると推測される。本研究成果により、高齢者の慢性痛治療において、脳内神経炎症を標的とした有効でQOLを向上させる新規治療法の開発が期待される。
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