研究課題/領域番号 |
21K08975
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
井辺 弘樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60326353)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ストレス / 痛覚過敏 / 下行性疼痛調節系 / ストレス性疼痛過敏 / 内側視索前野 / エピジェネティクス / 運動療法 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性ストレス後、人および実験動物において疼痛反応の増強が報告されている。しかし、現在まで、そのメカニズムは明らかにされておらず、多くのストレス関連疾患の治療のために、そのメカニズムの解明が切望されている。人や動物の脳には、痛みをコントロールする下行性疼痛調節系が存在する。本研究は、下行性疼痛調節系を制御する内側視索前野のエピジェネティックな変化がストレス性痛覚過敏を引き起こすメカニズムを解明し、さらに、エクササイズがストレス性痛覚過敏や内側視索前野のエピジェネティクな変化を解消できるのかを検証する。本研究は多くのストレス関連疾患や慢性疼痛の治療に新しい展開をもたらすことが期待される。
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研究実績の概要 |
1. 慢性拘束ストレス群とコントロール群(ラット)において、内側視索前野(MPO)で DNA メチル化酵素、DNA 脱メチル化酵素の発現を RT-PCR において調査したが、有意差は得られなかった。 2. 慢性拘束ストレス群とコントロール群(ラット)の MPO から total RNA を抽出し高速シーケンス解析を行い、これら既知遺伝子解析結果を用いて、さらに変動遺伝子群の解析を行った。 3. 慢性拘束ストレス群とコントロール群(ラット)の吻側延髄腹内側部(RVM)において、MOR のプロモーター領域への MeCP2 の結合をクロマチン免疫沈降アッセイにて検討した。慢性拘束ストレス群でコントロール群に比し、MOR のプロモーター領域への MeCP2 の結合が有意に減少していることが明らかになった。 4. 10日間の垂直慢性拘束ストレス(vCRS)は、マウス後肢に機械的感覚過敏を誘発し、ストレス終了後3週間持続した。その後、4週間の自発的ホイールランニング(VWR)によりvCRS による機械的感覚過敏は消失したが(vCRS-VWR群)、自発的運動を行わないマウスでは機械的感覚過敏は同じ期間持続した(vCRS-sedentary群)。vCRS-VWR 群では、総走行距離と機械的感覚閾値の間に正の相関が見られた。vCRS-VWR 群の RVM における pCREB-IR 細胞数は、vCRS-sedentary 群および naive 群と比べて有意に大きかった。一方、青斑核(LC)の pCREB-IR 細胞数は、それらのマウスの間で有意差はなかった。 これらデーターの一部は論文としてまとめ、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性拘束ストレス群でコントロール群に比し、MOR のプロモーター領域への MeCP2 の結合が有意に減少していることなどを明らかにし、これまでのデーターと共に論文としてまとめ、現在投稿中である。また、マウスで自発的運動によりストレス性痛覚過敏が改善するモデルを確立することができた。計画は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 慢性拘束ストレス群とコントロール群(ラット)の MPO からの既知遺伝子解析結果を用いて、行動実験データーと変動遺伝子の相関を調べることや、変動遺伝子群の機能解析などさらに分析を進める。 2. 垂直慢性拘束ストレス(vCRS)と自発的ホイールランニング(VWR)を同時に行いストレス性痛覚過敏の発生を予防することができるか、また、VWR 単独では機械的感覚閾値を変化させるのか否かを検討する。 3. vCRS 群と naive 群において、内側視索前野(MPO)や吻側延髄腹内側部(RVM)での遺伝子発現の違いを分析する、そして、vCRS-VWR 群とvCRS-sed 群 naive 群において、MPO や RVM を含む下行性疼痛調節系での転写因子発現の違いなどをさらに検討する。
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