研究課題/領域番号 |
21K08981
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
照井 貴子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 特任准教授 (10366247)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 循環生理 / 筋収縮 / 麻酔薬 / 麻酔 |
研究開始時の研究の概要 |
近年急速に発展しているイメージング技術を用いて、心臓の心筋線維の最小ユニットであるサルコメアの収縮動態を高い時間・空間分解能でライブイメージングできる技術と、小動物摘出心臓を心拍動下に顕微鏡観察できるex-vivoナノイメージング装置を駆使し、心筋の収縮・弛緩のメカニズムをナノレベルで解明する。また、心拍を完全に制御できる装置である利点を生かし、心電図・血行動態情報、局所心筋細胞のCa2+濃度の同時測定を行い、詳細な心筋の収縮・弛緩の分子メカニズムの解明をねらう。また、麻酔薬を加えての検討も行い、麻酔薬が心筋ナノレベルの収縮動態にどのように寄与するかをナノレベルで高精度の解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、近年急速に発展している分子イメージング技術を駆使し、心臓の心筋線維の最小ユニットであるサルコメアの収縮動態を高い時間・空間分解能でライブイメージングできる技術とで、小動物摘出心臓を心拍動下に顕微鏡観察できる ex-vivo ナノイメージング装置を駆使し、心筋の収縮・弛緩のメカニズムをナノレベルで解明する。 生命科学・医学研究において生体内の様々な制御メカニズムを解明するためには、in vitro のみならず in vivo での分子メカニズムの解明が待たれるが、心筋研究においては、心臓自体が常に拍動し続けている臓器であるため、技術的に困難を極める。そこで、in-vitro から in-vivoイメージングへ研究を進めていく上で、非常に重要な ex-vivo イメージング装置を開発し、本研究をより実質的かつ装置系に段階性を持たせて進められ、ex-vivo イメージング装置を実際に使用し、擬似生体内での心筋サルコメアの収縮・弛緩動態をイメージング可能となった。心拍を完全に制御できる装置である利点を生かし、心電図・血行動態情報、局所心筋細胞の Ca2+濃度の同時測定を行い、詳細な心筋の収縮・弛緩の分子メカニズムの解明をねらう。また、また一般的に、心臓の心筋収縮自体は、いわゆる心臓のペースメーカー(洞結節)からの心拍により活動電位が生じ、その伝搬により Ca2+イオン濃度が上昇し心筋細胞が収縮するといわれている。ex-vivo イメージング装置を拡充し、その収縮様式の詳細、また、Ca2+イオン濃度変化のない状態での心筋細胞の動態についての検討を進めてい麻酔薬を加えての検討も行い、麻酔薬が心筋ナノレベルの収縮動態にどのように寄与するかをナノレベルで高精度の解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心筋の収縮弛緩の分子メカニズムを明らかにするためには、特定の分子の動きを動物個体内で観察する必要がある。これまでに得られたナノイメージング技術を小動物(ラット、マウス)in vivo に応用し、生体内での心筋収縮・弛緩のメカニズムの解析を行う前段階として、ラット摘出心を用いてランゲンドルフ還流下に顕微鏡観察ができる ex-vivo イメー ジング装置を構築した。心筋サルコメア、心筋の Z 線/Z 線付近に存在するタンパク質(αアクチニン)と蛍光タンパク質(EGFP)を融合させた遺伝子組換えウィルスベクターを用いて心筋サルコメアに蛍光タンパク質を発現させることにより、より鮮明に心筋サルコメアを蛍光顕微鏡で描出できると考えている。 これまでのイメージング装置の蛍光顕微鏡部分に、2 つの蛍光波長を切り替えて蛍光観察ができるイメージング装置(2 光路系)を慈恵医大細胞生理学講座福田研究室との研究協力の上、構築するに成功した。この 2 光路系イメージング装置を使用することで、これまでの蛍光観察に加え、より踏み込んだ観察が可能と考えられ、ex-vivo 還流システムと併用することで、心臓の収縮・弛緩に関する動態に関する解析が加速すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ex-vivo イメージング装置を使用し、生体内という条件にかなり近い形での心筋サルコメアの収縮・弛緩動態をイメージング可能となった。また一般的に、心臓の心筋収縮自体は、いわゆる心臓のペースメーカー(洞結節)からの心拍により約1秒に1回の頻度で活動電位が生じ、心臓全体に伝搬する。その伝搬により心筋細胞内の Ca2+イオン濃度が急激に上昇し、心筋細胞が収縮するといわれている。ex-vivo イメージング装置を用いることにより、その収縮様式について、詳細に観察することが可能となった。また、Ca2+イオン濃度変化のない状態での心筋細胞の動態についても検討できることが示唆された。除膜心筋収縮系サルコメアは,Ca2+濃度一定の条件下で自発的に振動し(SPOC:Spontaneous Oscillatory Contraction)、その振動数は動物種に固有の心拍数と相関することが報告されている(Sasaki et al. 2005)。生理的な電気刺激頻度において SPOC に類似した鋸波の振動波形が出現することが判明している(Serizawa et al. 2011)。今後は、膜電位感受性色素を細胞に導入させることなども併用し、すでに構築しているイメージング装置を駆使し、細胞レベルで確認れている心筋サルコメアの自励振動(SPOC)が、臓器レベルで確認されるかどうか、ex-vivoイメージング装置を用いて心筋細胞動態を詳細に観察できる系で検討する。さらに、システムの改良を行い、摘出心臓を還流させる灌流液の電解質組成をリアルタイムで確認できるシステムの検討を行う。また、実際に臨床上も使用している麻酔薬(セボフルラン、デスフルラン、プロポフォールなど)を様々な濃度で灌流液内に混和し、麻酔薬による心収縮・拡張への影響をリアルタイムに観察し、ナノレベルで検討する。
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