研究課題/領域番号 |
21K08986
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山本 夏子 (工藤夏子) 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (40771514)
|
研究分担者 |
安部 恭子 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (30311575)
山本 洋平 秋田大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70400512)
新山 幸俊 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (90423764)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | 術後認知機能障害 / アストロサイト / アストロサイト活性化阻害薬ONO-2506 / S100β / s100β / EAAT2 / グルタミン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者の手術が増えている現在,生活の質(QOL)を損なう合併症として術後認知機能障害(Postoperative Cognitive Dysfunction : POCD)は重要な問題であるが、その病態は複雑で詳細な機序は十分に解明されていない。脆弱な加齢脳に手術や麻酔の侵襲が加わることで脳のグリア細胞の一つであるアストロサイトが異常活性化され、神経伝達物質であるグルタミン酸の過剰から神経毒性による細胞死が起きることがPOCDの一因であることを、アストロサイト活性化阻害薬ONO-2506を用いて証明したい。
|
研究実績の概要 |
術後認知機能障害の原因として麻酔や手術の侵襲によって活性化されたアストロサイトの関与が示唆されている。本研究では高齢ラットの術後認知機能に対するアストロサイト活性化阻害薬ONO-2506の効果を検証した。 SDラット36匹(雄, 17-22ヶ月, 600-930g) を用い、手術-/ONO-2506-群(C)、手術+/ONO-2506-群(S)、手術-/ONO-2506+群(O)、 手術+/ONO-2506+群(SO)(各n=9)に分けた。ONO-2506投与群は術中~術後2日まで30mg/kg、非投与群には生食を腹腔内投与した。手術群は2時間の全身麻酔下に左大腿骨骨接合術を施行し、非手術群は2時間チャンバーに隔離した。術後6~10日にモリス水迷路 (MWM) を行い、逃避潜時・遊泳距離・遊泳速度を測定し、10日目にprobe testを施行した。術後14日に海馬S100β陽性アストロサイト細胞数を測定した。その結果、MWMの逃避潜時・遊泳距離・遊泳速度・probe testは各群間に有意差を認めなかった。S100β陽性細胞数はC群とS群の比較では有意差を認めなかったが、SO群でC群とS群に比較して有意に減少した。(p=0.02 vs C群, p=0.01 vs S群) つまり、高齢ラットにおいて海馬S100β陽性細胞は手術では増加しなかったが、ONO-2506投与により有意に減少した。ONO-2506投与による術後認知機能への影響は認めなかった。 これまでの研究では、高齢ラットの海馬アストロサイトの活性化は認められず、ONO-2506投与は術後認知機能に影響を与えないという結果になり、仮説は実証されなかった。免疫染色の精度のばらつきを考慮し、ELISA法でs100βの定量を試みたが、現在のところ仮説を支持する結果は出ていない。
|