研究課題/領域番号 |
21K09004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊藤 健二 東海大学, 医学部, 教授 (10317779)
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研究分担者 |
吉川 正信 東海大学, 医学部, 准教授 (90276791)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 疼痛 / 脊髄 / 興奮性アミノ酸 / Dセリン / グルタミン酸 / 神経障害性疼痛 / 慢性疼痛 / NMDA受容体 / 神経障害生疼痛 / シアロルフィン / 唾液腺 / D体セリン |
研究開始時の研究の概要 |
神経障害性疼痛は発症機序が不明なため、根本的な治療法が無く臨床上重大な問題となっている。末梢神経を損傷させた神経障害性疼痛の脊髄においてアストロサイトは細胞体および突起を肥大化させ活性化することが知られている。神経障害に伴うアロディニアや痛覚過敏などの発症にN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体活性化が深く関与しているが、そのNMDA活性化メカニズムは不明である。本研究は活性化アストロサイトによる脊髄後角ニューロン変調メカニズムを明らかにするために、Dセリンの神経障害性疼痛における役割解明を基軸に据え、アストロサイトとの相互関係を明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
疼痛モデル動物を用いて、疼痛刺激後の脊髄内興奮性アミノ酸Lグルタミン酸量、Dセリン量の経時的解析(神経化学的解析)を実施した。すなわち、ホルマリン投与後の第1相(0- 5min)において脊髄後角の細胞間隙中のLグルタミン酸は刺激前と比べて有意に増加した。一方、刺激後10-50minの第2相初期において、Lグルタミン酸酸は刺激前と比べて有意に増加したが、50min以降は漸減し75minは刺激前と同程度となった。一方、Dセリンは第1相(0-5min)において変化が観察されなかったが、刺激後30-50min第2相Lグルタミン酸が漸減する時期に漸増し、50min以降は刺激前と比べて有意に増加した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
申請者のグループは生理的な個体レベルではDセリンは神経細胞により生成されるが、生理的状態から逸脱した場合アストロサイトによりDセリンが生成されることを明らかにした。本研究により疼痛の発症時にはNMDA受容体アゴニストのLグルタミン酸遊離量が増加し、維持期にはDセリン遊離量が増加することが示された。以上の先行研究などから、神経障害性疼痛の維持期における脊髄後角で活性化アストロサイト由来DセリンがNMDA受容体機能を亢進し、脊髄後角ニューロンを過敏化し、アロディニアや痛覚過敏などの病的な疼痛維持メカニズムの一因となっているとの仮説に至離、新規疼痛治療法の開発に寄与できるものと考える。
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