研究課題/領域番号 |
21K09006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝浩 日本大学, 医学部, 教授 (60277415)
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研究分担者 |
高木 俊一 日本大学, 医学部, 准教授 (20308464)
北島 治 日本大学, 医学部, 助教 (20772776)
佐野 誠 (SanoMakoto) 日本大学, 医学部, 准教授 (70339323)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | がんサポーティブケア / 担がんモデルマウス / 麻酔薬 / がん性疼痛 / 悪液質 / サポーティブケア / 抗腫瘍効果 / 嗅覚障害 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,がん性疼痛や悪液質の緩和を加えて,心理社会的ストレスと嗅覚障害のメカニズムという未知なる領域に関して担がんマウスモデルを用いて明らかにし,より良いサポーティブケアの確立を目指す。下記の研究を実施する。 ① がん性疼痛に対する未承認麻酔薬の探索を担がんモデルマウスを用いて明らかにする。 ② 麻酔薬投与に加えて自発的な輪回し運動による悪液質軽減への影響を明らかにする。 ③ 心理社会的ストレス(単頭飼育)が担がんマウスに及ぼす影響とその作用メカニズムを明らかにする。 ④ 担がんマウスにおける嗅覚障害のメカニズムを詳細に解析し,嗅球神経細胞変性を抑制した薬剤が機能的に作用するかどうかを検討する。
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研究実績の概要 |
近年,がんに対する治療方針の多様化から,患者個人に適したサポーティブケアが求められている。対象としては,がん性疼痛や悪液質,体重減少,うつや睡眠障害,嗅覚・味覚障害など多岐に渡る。われわれは抗うつ薬のデュロキセチンが膵癌モデルに対して抗腫瘍効果を示し,がん性疼痛の緩和や食欲低下・体重減少の遅延,生存期間の延長にも寄与することを報告してきた(Duloxetine improves cancer-associated pain in a mouse model of pancreatic cancer through stimulation of noradrenaline pathway and its antitumor effects. Pain 2020; 161: 2909-19)。 当該年度においては,ミダゾラムが膵癌のみならず,腫瘍進展に関わる癌関連線維芽細胞の増殖を抑制し, 腫瘍関連好中球や腫瘍関連M2様マクロファージ(M2様TAM),骨髄由来免疫抑制細胞の局所浸潤を抑制すること,疼痛スコアを緩和することを明らかにした(Midazolam exhibits antitumour and anti-inflammatory effects in a mouse model of pancreatic ductal adenocarcinoma. Br J Anaest 2022; 128: 679-90)。さらにミロガバリンは電位依存性カルシウムチャネルα2δリガンドで,プレガバリンに代わる神経障害性疼痛治療薬であるが,膵癌モデルマウスの疼痛スコアを有意に軽減させる一方で,膵癌細胞の増殖を直接抑制し,また腫瘍進展に関わるM2様腫瘍関連マクロファージ(M2様TAM)の局所浸潤を増加させることを明らかにした(Pain, in press)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに抗腫瘍効果を有するミダゾラムを見出し,膵癌モデルマウスにおいてもミダゾラムの抗腫瘍効果ならびに抗炎症効果,疼痛緩和作用を示すことができた。また,ミロガバリンはがん性疼痛を緩和する一方で,腫瘍進展に関わる可能性を実験的に証明した。ミダゾラムやミロガバリン以外にも興味深い候補麻酔薬を見出しており,膵癌マウスへの投与を継続する。研究計画全体としては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては,以下の実験計画を引き続き行う予定である。 ①がん性疼痛に対する新たなサポーティブケア(鈴木,佐野):膵癌マウスに対する候補麻酔薬の効果を引き続き明らかにする。 ②麻酔薬と自発運動によるがん悪液質の改善(高木,北島,佐野):担がんモデルマウスへの候補麻酔薬投与に加えて輪回しケージでの自発的運動を促すことで,悪液質(筋萎縮)軽減の程度や腫瘍への炎症免疫細胞浸潤の程度,血漿サイトカイン,生命予後への影響を検討する。
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