研究課題/領域番号 |
21K09008
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前川 邦彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (50439189)
|
研究分担者 |
和田 剛志 北海道大学, 医学研究院, 助教 (30455646)
山川 一馬 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (50597507)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | PICS / サイトカイン / ケモカイン / LUMINEX / 臓器障害 / second hit / 敗血症 / CyTOF / MAGPIX / 免疫応答修飾因子 / phenotyping |
研究開始時の研究の概要 |
重症疾患病態の理解や治療の進歩により、集中治療室(ICU)での重症患者救命率が著しく向上した結果、ICUから生還した患者の長期的なQOLや死亡率に関心が向けられるようになり、集中治療後症候群(Post Intensive Care Syndrome: PICS)という概念が提唱されたが、その病態は十分に解明されているとは言い難い。 「次世代フローサイトメトリー」とも評されるCyTOFを用いてPICS病態の免疫学的な網羅的解析、体内動態解明にアプローチすることにより、ICUでの重症疾患加療中におけるPICS予防のための新たな治療標的開発への方向性を提示する。
|
研究実績の概要 |
PICSは盲腸結紮穿孔(CLP)あるいは糞便懸濁液腹腔内投与(FSI)により誘導し2か月生存したマウスをPICSモデルとした。Second hitとしてリポポリサッカライド(LPS)10㎎/kgを腹腔内投与した。 生存率: second hit後、CLP-PICS群とFSI-PICS群では全例生存したが、対照群の生存率はPICS群よりも有意に低かった(p=0.011)。組織学的評価:脾臓ではFSI-PICS群とCLP-PICS群において軽度のマクロファージ浸潤が観察された。肺では、すべての群で肺うっ血がみられ、その強度はFSI-PICS+LPS、対照+LPS、CLP-PICS+LPSの順であった。腎臓では、FSI-PICS+LPS群のマウス2匹に糸球体変性が観察されたが、他の群ではこの所見はみられなかった。肝臓では、FSI-PICS+LPS群のマウス2匹に急性胆管炎が観察された。脾臓では、マクロファージ浸潤はFSI-PICS+LPS群と対照+LPS群で重度であり、CLP-PICS+LPS群では中等度であった。さらに、CLP-PICS群では10例中5例に腫瘤形成がみられた。腫瘤の組織学的所見では脱落上皮の直近に好中球中心の炎症細胞浸潤が観察され、これは膿瘍と考えられた。周囲では、マクロファージの集団が観察され、顆粒腫を形成していた。 免疫学的評価: CLP-PICS群とFSI-PICS群は、G-CSF、IL-7、CCL-3、およびCCL-4などの炎症性サイトカインおよびケモカインのレベルが高く、IL-13およびTGF-β2などの抗炎症性サイトカインのレベルが低いという特性を持っていた。 LPSの腹腔内投与後のサイトカインおよびケモカインレベルは、炎症性または抗炎症性の効果に関係なく、CLP-PICS+LPS群およびFSI-PICS+LPS群で全てのサイトカインおよびケモカインが抑制されたことを示していた。この傾向は特にCLP-PICS+LPS群で顕著であった。対照+LPS群では、LPSの投与によって高い炎症反応が誘発された。
|