研究課題/領域番号 |
21K09020
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保 達彦 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (00446121)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | J-SPEED / DMAT / 災害医療 / Emeregency Medical Team / WHO EMT Minimum Data Set / Operational Epidemiology / 災害診療記録 / EMT Minimum Data Set / 診療情報管理 |
研究開始時の研究の概要 |
自然災害時に最も必要な情報は「どこに・どのようなニーズをもった被災者が・何人いるのか」という情報である。災害医療でこの課題に対応するために標準的に用いられている様式がJ-SPEED診療日報である。本研究では熊本地震以降の実災害で収集されたJ-SPEED診療日報データを解析して、災害医療分野における未知の知見を収集する。J-SPEED診療日報データは、東日本大震災を契機に開発された手法であり、収集されたデータは予見される南海トラフ大地震等の対応に活用されなければならない。
|
研究実績の概要 |
大規模自然災害においてDMAT、DPAT、日赤救護班、JMAT、Peace Winds Japan、AMAT、TMAT等の医療救護班がJ-SPEED診療日報を用いて報告した診療実績データの解析を行った。西日本豪雨(2018年)において収集されたJ-SPEEDデータを用いてメンタルヘルス支援ニーズを有する被災傷病者の割合の推移を分析したところ、同割合は発災直後の高値からいったんは減少するものの、災害医療チームが撤収し始める亜急性期に入ると一転して増加していた。この結果は、災害医療チーム等の支援者が撤収する時期に避難者がさらされる災害ストレスに対するメンタルヘルス面での支援及びその引継ぎの重要性を示唆している。モザンビークサイクロン災害(2019年)ではJ-SPEEDをもとに開発されたWHO国際標準Emergency Medical Team Minimum Data Set (MDS)診療日報によって収集されたデータを解析し、傷病と災害との関連性を評価した。MDS診療日報では災害との関連性は傷病者の診療にあたった各国災害医療チームの医師によって直接的・間接的・関連なしの3つに分類して評価されている。解析の結果、災害と直接的な関連がある患者の割合は報告開始翌週には6.1%から2.4%まで低下していた。災害によって起きた環境変化に伴う間接的な傷病による受診患者の割合は、5週間をかけて25.1%から2.3%まで低下していた。そして災害と関連のない傷病による受診患者の割合は当初の68.7%から6週間後に98.0%まで上昇していた。このような割合推移の傾向は熊本地震(2016年)西日本豪雨(2018年)熊本豪雨(2020年)等でも確認され、同割合推移を参照することで災害医療チームの撤収判断など、データに基づく災害医療調整を実現することが可能になると考えられた。
|