研究課題/領域番号 |
21K09045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大鶴 繁 京都大学, 医学研究科, 教授 (60437225)
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研究分担者 |
砂川 玄志郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (70710250)
高谷 悠大 京都大学, 医学研究科, 助教 (60828903)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 冬眠 / 休眠 / 心筋 / 低代謝 / 救急医療 / 低代謝療法 |
研究開始時の研究の概要 |
救急医療で応用が見込まれる休眠の低代謝耐性は細胞レベルで実装されている可能性が示唆されている。そこで、インビトロで細胞機能や代謝を評価できる系を用意し、人為的に冬眠状態を誘導できるモデルマウスから採取したサンプルに含まれる休眠誘導因子を検索する。具体的研究内容は、以下の4つのステップからなる。 ①インビトロ代謝評価系の開発 ②休眠動物から体液の採取 ③心筋トランスクリプトームから休眠遺伝子群の検索 ④候補分子のインビトロ評価系における検証
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、天然由来の省エネシステムである休眠から低代謝耐性の原理を学び人間に応用することである。そこで、3年をかけて低代謝療法の基盤となる脳から末梢組織への休眠シグナルの解明に挑戦する。そのために、最も代謝が高い臓器のひとつである心臓に注目し、休眠中の心臓に影響を及ぼす因子を同定することを目指す。心機能や心臓の代謝に影響を及ぼす因子を検証していく上で、心機能をインビトロで評価できることは大きなアドバンテージとなる。そこで、本研究の計画は次の4つのステップから構成した:①インビトロ代謝評価系の開発、②休眠動物から体液の採取、③心筋トランスクリプトームから休眠遺伝子群の検索、④候補分子のインビトロ評価系における検証。 ①に関しては、昨年度までに、成体マウスから心筋細胞を単離し、複数日にわたって培養する系を洗練させてきた。現時点で1週間以上培養できることもあるが、再現性にかけているため、実験手法のさらなる改善が必要である。拍動する心筋を培養したウェルプレートの特定地点を定期的に巡回し動画撮影できる顕微鏡システムは既に導入してあり、実際に拍動を捉えられることは確認した。 ②に関しては、飢餓性休眠のマウスや冬眠様状態のマウスから採血を行い、血漿ストックライブラリの作成をすすめている。昨年度は176個体からサンプルを取得した。 ③④に関しては、①が完成してからの検証となるため本年度は進展はない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、病院内でクラスターが発生したり、研究者が濃厚接触者となるなど、一定の期間自宅待機等を余儀なくされ、理研での進捗状況に比し、京大側ではやむを得ず当初の研究計画よりも進捗状況が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①インビトロ代謝評価系の開発(高谷・京大、砂川・理研が担当;令和3~6年度):冬眠マウスモデルから採取した検体に含まれる休眠誘導分子を感度よく検出するために、インビトロで機能・代謝を検出できる心筋培養系を確立する。成体マウスの心筋初代培養において、安定的に1週間以上の培養が可能な系の確立をめざす。心機能は動画撮影を用いた拍動数検出、あるいは培地分析(グルコース消費量・乳酸排出量)やフラックスアナライザーによる酸素消費量で評価する。ウェルプレート上の定点を定期的に巡回し動画をとる系は確立しており、今年度は動画から拍動数の自動検出を試みる。 ②休眠動物から体液の採取(砂川;令和3~6年度):飢餓誘導性休眠(FIT; Fasting-induced torpor)ならびにQ神経誘導性休眠(QIH; Q neuronsinduced hypometabolism)のマウスから血液や髄液をサンプルし、休眠誘導物質を含むライブラリを作成する。今年度は約100個体からのサンプリングを予定している。 ③候補分子のインビトロ評価系における検証(高谷・砂川;令和4~6年度):①で確立したインビトロ代謝評価系を用いて、②で得られた体液サンプル(髄液・血漿など)や、絶食性休眠とQ神経誘導性休眠のマウスから単離した1心筋細胞遺伝子発現解析から候補となった分子機構を摂動する薬物を用いて、心筋細胞がどのような影響を受けるか検証する。最終的に、心筋細胞の代謝を細胞障害を生じずに、可逆的に低下させられる分子や、関連する機構を見出すことを目指す。
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