研究課題/領域番号 |
21K09054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
伊丹 貴晴 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (90724203)
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研究分担者 |
華園 究 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (00737992)
宮庄 拓 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (50568996)
佐野 悠人 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (90806887)
四釜 洋 石原産業株式会社 中央研究所, ヘルスケア事業本部, 部長 (00752445)
吉田 稚加子 石原産業株式会社 中央研究所, ヘルスケア事業本部, 主任 (70752434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 内毒素血症 / 豚 / フザプラジブ / 呼吸循環系機能 / 炎症性サイトカイン / 内毒素血症モデル豚 / リポポリサッカロイド |
研究開始時の研究の概要 |
細菌感染症で生じる内毒素血症はしばしば呼吸循環器疾患を合併して生体を死に至らしめる。内毒素血症ではさまざまな生体反応物質の産生・放出が順次起こるが、一度スイッチが入るとこの反応を止めることは困難である。フザプラジブはこの反応の連鎖を上流で抑制する薬剤である。研究では、内毒素血症モデル豚を用いてフザプラジブの呼吸循環器疾患の進行を抑制できるかを検討する。
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研究実績の概要 |
フザプラジブ(FZP)は炎症細胞表面の接着因子の活性化を阻害することで血管内皮細胞への接着、浸潤を阻害し、抗炎症効果を発揮する。本研究ではリポポリサッカライド(LPS)で実験的に誘因した内毒素血症モデル豚を用い、FZPの炎症抑制効果を検討した。 豚を全身麻酔し、頚静脈に中心静脈カテーテルと大腿動脈にPiCCO カテーテルを設置した。続いて、すべての供試豚にLPSを静脈内投与し、循環動態、血液ガス分析、全血球計算/生化学検査および炎症性サイトカイン測定を実施した。Low-FZP 群(n=5:0.048 mg/kgおよび0.075 mg/kg/時間 静脈内投与)、High-FZP 群(n=5:1.34 mg/kgおよび2.11 mg/kg/時間 静脈内投与)および対照群(n=5:同量の生理食塩液)として、得られたデータを統計学的解析した。 4時間の観察期間中、対照群1頭(130分目)およびLow-FZP群2 頭(LPS 投与後157分目、222分目)が斃死したが、High-FZP群では斃死豚は認められなかった。LPS投与後、全群で白血球数、血小板数、血糖値、アルブミン値が有意に低下した。一方、赤血球数、カリウム値、肝臓/腎数値が有意に上昇した。インターロイキン-6はHigh-FZP群で対照群より有意に低く推移し、120分目から240分目において有意な差が認められた。循環動態において、全群で心拍出量と血圧は低下し、心拍数と肺血管外水分量は上昇した。呼吸機能において、全群で酸素化能が低下したが、High-FZP群でLPS投与後の初期反応時においてに有意に高く推移した。 高用量FZPはLPSによる内毒素血症モデル豚において、臓器傷害は抑制できないものの、インターロイキン-6の産生を抑制することができ、観察期間中において斃死に至る過程を遅延できる可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度後半から2023年度前半まで生体を用いた研究施設の改修工事のため炎症性サイトカインなどの血液検査や病理組織検査などの解析を優先して行ったが、生体を用いた研究に関して一時的に遅延が生じた。また、これまでの解析より高用量でのフザプラジブの有効性が確認されたことから、2023年度末に投与量を増加させた被験群(高用量群)を新たに設定して研究を再開した。 2024年度は統計学的解析に安定した頭数の確保と、学会ならびに学術誌への報告のため研究期間を延長申請して研究の完遂を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度までに得た解析によって、フザプラジブが有効血中濃度が想定の1/3にとどまっていることが明らかとなったため、フザプラジブの炎症系サイトカインへの抑制効果が一部しか確認されなかった。そこで、2023年度は有効血中濃度を維持しつつ、さらにその用量を増加させた高用量群を設定した。 2024年度は高用量群の設定も終了していることから、統計学的解析に安定した頭数の確保と、蓄積している血清サンプルをELISAキットにて炎症性サイトカイン測定と病理組織検査を実施して、その結果を学術誌に報告する予定である。
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