研究課題/領域番号 |
21K09055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 社会福祉法人恩賜財団済生会(済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門) |
研究代表者 |
足立 裕史 社会福祉法人恩賜財団済生会(済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門), 済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門, 客員研究員 (80420355)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 譫妄 / 集中治療室 / 合併症 / 脳波測定 / 早期発見 / 集中治療 / 睡眠 / 予防 / 急性期医療 |
研究開始時の研究の概要 |
譫妄の生ずる主要な原因の一つは、不適切な鎮静薬の投与や処置と、結果として生じるサーカディアンリズムの異常、とされている。人工呼吸、疼痛、騒音、処置に伴う苦痛に対して鎮静薬を投与するが、不適切な対応は本来のサーカディアンリズムを撹乱し、健康を損な原因となる。本研究では精神状態の変化を連続的にモニタリングし、心的活動の総合作用として現れる脳波、心拍変化の経過を指標として、「精神活動の揺れを連続的に評価しながら動的に鎮静や処置の強度を適切に調節して、譫妄を予防する革新的医療技術を開発する」為に、動物実験による安全性の確認と、ベッドサイドに於ける具体的な実用化を目指す。
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研究実績の概要 |
集中治療室でしばしば合併する譫妄に関して、当施設で採用しているICDSCのデータを参照としながら、簡易脳波測定による早期発見、対処を目標として臨床症例を対象に年度中、継続して調査、解析を行った。2022年度は、新型肺炎(SARS-CoV-2感染症)の影響で、集中治療室の診療体制が不安定となった為、研究計画の内容を見直し、譫妄合併症例にのみ注目する形で脳波測定、症例検討を行った。本報告書作成時点では(2022年度末)、新型肺炎の影響は(一時的にせよ)ほとんど無くなったと考えられる事から、当初計画に基づいた簡易脳波測定を再開し、データの収集と解析を継続したい。 譫妄発症には周術期症例の場合、疼痛管理も重要な因子として影響する。本研究を補完する観点から、高齢者に多い腹膜透析導入の際の手術に際して、その麻酔時の麻薬使用量、循環動態変動に関する調査を行い、この成果を2022年10月の米国麻酔科学会で報告し、適切な治療管理について討論を行った。 意識状態の「揺れ」については、夜間を中心に評価を継続し、特に深夜から早朝にかけての変化を追跡した。この集中治療室での夜間管理の中で、治療者側の勤務体制や繁忙が譫妄発症に影響する可能性を見出した。 また、本研究協力者(里元)が研究代表者として実施している譫妄に関する研究を支援し、結果の検討、解釈に参加して、成果を「Satomoto M. Predicting Postoperative Emergence Delirium From the Heart Rate Variability of Patients Undergoing Elective Cardiac Surgery. Cureus 2023; 15: e34613」として発表する作業に協力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績概要にも記したが、2022年度は、新型肺炎(SARS-CoV-2感染症)の影響で、集中治療室の診療体制が不安定となった為、研究計画の内容を見直し、譫妄合併症例並びにハイリスク症例にのみ注目する形で脳波測定、症例検討を行った。 機材の使用を含めた技術的課題は概ね改善されており、今後は軽症の症例を含めて、より多く調査、研究の対象者を増やす事が可能になると想定している。 譫妄は、当該症例患者の過ごす環境因子によっても発症や程度が大きく変化する為、若干の遅延は止むを得ないと考えているが、一方で、施設の医療体制による環境変化が、何らかの方向性を持つ結果に繋がっているのであれば、興味深い知見が得られるとと考えるに至り、今後、2023年度の解析、検討課題の一つに加えたいと考えている。 特に、施設内においても感染対策が著しく強化された期間と、やや緩和された期間が混在している事から、この季節的な差異の影響についての検討を加えたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題のテーマとして、精神活動(症状)の揺れをリアルタイムで連続的に評価する技術開発を挙げていたが、2023年度は刻々変化する状況の他に、変化の量を、1、3、6、12、24、72時間の様な、可変的なスパンで測定し、長期間の揺れについても解析を試みたいと考えている。 この手法を組み合わせる事が可能となれば、24時間連続的にデータ収集、解析を行い得る集中治療室と、1日1ないし2回程度の評価が標準となっている一般病棟との間で、主要治療目標疾患が軽快した後に対象患者症例が移動しても、繋がりのある譫妄合併予防の施策が検討可能になると考えられる。 感染症対策の強化された期間は集中治療室入院中の患者であってもマスクの着用が推奨されるケースが多く存在した。治療者側は当初より、通常の体制でもマスクを着用している場合が多いが、マスクの着用は表情認識を妨げ、結果としてコミュニケーション上の認知能力低下を引き起こしている可能性が高い。 現在行っている研究を補完する目的として、表情認知に関しても譫妄との関りを基礎調査しており、より本研究を発展させたいと考えている。従来の譫妄発症の評価、特に早期の検出に関して、表情認知機能を取り込む可能性についても考察したい。
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