研究課題/領域番号 |
21K09067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
内御堂 亮 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (70883643)
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研究分担者 |
長谷川 嵩矩 東京医科歯科大学, M&Dデータ科学センター, 准教授 (80753756)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 重症新型コロナウィルス感染症による敗血症 / 代謝障害の経時的な解析 / 敗血症 / データサイエンス / 重症新型コロナウィルス感染症 / 死亡予測モデル / デジタル・トランスフォーメーション / 遺伝子発現解析 |
研究開始時の研究の概要 |
敗血症は細菌やウィルス感染により重篤な臓器障害が生じた致死的な症候群である。近年の早期治療の発達により早期死亡率は減少したが、重症のまま治療期間が2週間を超える慢性重症経過患者が増え、その死亡率が40%と高いことが新たな課題となっている。 本研究では(1).敗血症慢性重症経過の遺伝子発現プロファイルと遺伝子発現制御機構を同定し病態解明にアプローチする、(2).敗血症慢性重症経過に陥るリスクを可視化するのに効果的な遺伝子発現インデックスを機械学習・深層学習を用いて構築する。研究成果を通して実臨床の観点から敗血症慢性重症経過の病態解明並びに早期予測・予防に貢献する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は引き続き敗血症を呈した重症新型コロナ肺炎患者の血漿を利用した血中代謝物の網羅的な解析(以下、メタボローム解析)を実施した。代謝異常の中でも遺伝子発現と相関関係の強いものを特定することができた。同内容を第51回日本集中治療学会で発表した。特定のアミノ酸や赤血球産生に関連する代謝経路が、死亡患者で特に障害されていることや、集中治療室に長期に滞在する患者は早期に病状が改善して集中治療室から退室する患者と比較して、炎症が持続しそれに伴って脂質代謝経路が障害され続けていることも分かった。 また東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンターとともに、東京医科歯科大学病院集中治療室に入室した敗血症患者の血液検体の取得体制を整えた。検体取得を開始し、現在14症例、32検体を取得している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始年度である令和3年度は新型コロナウィルス感染症によるパンデミックの影響で、当初の想定とは異なり、集中治療室は主に重症新型コロナウィルス感染症による敗血症を呈した患者の対応を行っており、新型コロナウィルス感染症患者から遺伝子発現データを取ることは研究室の感染対策機能の制限から困難であったため、遺伝子発現解析の基礎データとして、血漿中の代謝産物の解析を重症新型コロナウィルス感染症患者の血液検体に対して行った。この代謝産物の解析は遺伝子発現解析の基礎となると同時に、いずれは遺伝子発現データと統合して解析することでより敗血症病態の解明を進めることができる。 実際の解析結果として、特定のアミノ酸や赤血球産生に関連する代謝経路が、死亡患者で特に障害されていることや、集中治療室に長期に滞在する患者は早期に病状が改善して集中治療室から退室する患者と比較して、炎症が持続しそれに伴って脂質代謝経路が障害され続けていることも分かった。 また、令和4年度は令和3年度に作成・整備した臨床データ解析のためのデータ運用プラットフォームを用いてデータの取得と整備を行った。本研究の目的である経時的な遺伝子発現解析を実施する上で、臨床経時データの取得は必須であり、コンピューターによるデータ送受信・データ解析の半自動化により、データの取得や解析を開始することができたが、改善点の対応に時間を要した。よりスムーズな運用に向けて、コンピュータープログラミングを利用して、引き続きデータ運用プラットフォームを整備していく必要性がある。 令和5年度は引き続き敗血症を呈した重症COVID-19を対象とした代謝以上の研究を継続し、学会発表も行なった。また、東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンターとともに、東京医科歯科大学病院集中治療室に入室した敗血症患者の血液検体の取得体制を整えた。順調に検体採取が実施されている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、集中治療室に入室するような重症の感染症患者において、遺伝子発現の変動が経時的にどのように起こっているかについてをネットワーク分析や深層学習など高度な手法を使って解析することである。2021年度、2022年度は、新型コロナウィルス感染症によるパンデミックの影響で、患者検体を取得することが難しく当初の予定通りに進まなかったが、2023年度は検体採取を開始することができ、現在までに14症例、32検体の検体取得を実施した。 今後の方針として、引き続き、患者血液検体を持続的かつ安定的に採取し管理していく。そして血液検体から遺伝子発現情報としてのRNAを抽出し、次世代型シークエンサーにより遺伝子発現定量を行い、その結果をデータサイエンスの手法で解析を進めていくということを想定している。
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