研究課題/領域番号 |
21K09081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
戸田 雄大 帝京平成大学, 薬学部, 講師 (30573852)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | TRPM2 / 脳虚血再灌流障害 / 酸化ストレス / 脳梗塞 |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞の治療において、早い段階では、脳の血管に詰まった血栓を溶かし、血流を回復する方法が救命、およびその予後改善に一定の効果がある。しかし、血流が回復したにもかかわらず、その後遅れたタイミングで障害が起きる。この事は「脳虚血再灌流障害」と呼ばれ、問題となっており、かつ改善の余地が残されている。脳虚血再灌流障害にはTRPM2(活性化しすぎると生体に炎症などを引き起こすカルシウムチャネル)が関わっている。 この研究は、脳虚血再灌流障害にTRPM2がどうやって関わるかを研究し、明らかにすることを目的とする。これが分かれば、TRPM2の働きを抑える薬物が、脳梗塞の治療効果を飛躍的に高める可能性がある。
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研究実績の概要 |
脳梗塞の治療において、脳血管に詰まった血栓を溶かす方法が救命、およびその予後改善に効果がある。しかし、血栓溶解後に遅れたタイミングで脳組織障害が起きる「脳虚血再灌流障害」が、問題となっており、かつ改善の余地が残されている。脳虚血再灌流障害にはTRPM2(活性化しすぎると生体に炎症などを引き起こすCa2+チャネル)が関わっている。 この研究は、脳虚血再灌流障害にTRPM2がどうやって関わるかを研究し、明らかにすることを目的としている。 今年度は、まず脳虚血再灌流障害における、TRPM2活性化を介した脳の組織障害に関連する可能性の高い細胞種の探索を行った。WTおよびTrpm2欠損マウス由来のミクログリアを単離・培養し、①過酸化水素(H2O2)を添加、あるいは②NADPH oxidase(NOx:H2O2を産生する生体内の酵素)を活性化させることによる内因性にH2O2を増加させる実験を行った。その結果、H2O2を添加した群ではTRPM2を介したCa2+の増加は見られず、内因性にH2O2を増加させることによりTRPM2を介したCa2+流入が認めらた。これについては、当初の予備検討の結果に確証を得ることができた。興味深いことに、H2O2を添加する実験、およびNOxを活性化させる実験共に、H2O2が存在する点に違いはない。従って、ミクログリアのTRPM2を介した脳組織障害には、活性化したNOxによる、H2O2を細胞内に取り込む何らかの因子の活性化が関与することが強く示唆された。次年度以降、その因子が何かを明らかにするとともに、ミクログリア阻害剤として基礎研究分野で広く使用されるようになったPLX3397を用いて、ミクログリアの脳虚血再灌流障害への関与について、明確にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ミクログリア阻害剤の用量・投与期間の条件について、最適な条件を検討している。また、脳虚血再灌流障害モデルマウスの作成において、虚血から再灌流までの時間に関する最適化、具体的にはこれまで3時間の虚血後再灌流処置を行っていたが、虚血の時間を短縮することにより、「再灌流」による脳組織障害の部分をより明確にする検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、脳虚血再灌流障害に関連する可能性の高い各細胞種、およびそれらにおけるTRPM2活性化に関与する因子の解明について遂行する。 脳虚血再灌流障害における脳組織障害に関連が深いと考えられているミクログリアについて、PLX3397を用いて、脳虚血再灌流障害に対するミクログリアの関与の有無、あるいは寄与率を、まずin vivoからアプローチすることにより完全に明確にする。その結果を元に、ミクログリア以外の細胞として神経細胞、マクロファージおよび単球についてTRPM2活性化の関与を細胞を用いたin vitro実験により明らかにする。
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