研究課題/領域番号 |
21K09103
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
阿南 光洋 大分大学, 医学部, 講師 (50381033)
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研究分担者 |
小林 隆志 大分大学, 医学部, 教授 (30380520)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | くも膜下出血 / 炎症病態 / IL-23 |
研究開始時の研究の概要 |
脳神経外科医が克服すべき疾患の一つに、くも膜下出血がある。専門的治療を受けられたとしても約1/3が死亡し、1/3が後遺症に苦しむ極めて重篤な疾患である。その特徴は、発症時は出血病態であるが、その後の経過では脳虚血病態となるため、発症時の手術だけでは治療を完結できないことにある。 我々は、くも膜下出血後の病態に免疫システムが関与している可能性に注目してきた。これまでの研究から、免疫システムにより誘導された炎症性サイトカインの一つが、くも膜下出血超急性期の脳浮腫の増悪因子の一つであることを見いだしている。ここでは更に、くも膜下出血の病態を把握するとともに、治療にまで発展させることを目指す。
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研究実績の概要 |
脳梗塞急性期から亜急性期にかけての炎症病態の関与が知られるところとなった。これまで研究代表者はくも膜下出血とその後の遅発性脳虚血においても同様の炎症メカニズムが関与しているか、研究を行なってきた(平成29年度-令和2年度 基盤研究C 課題番号17K10843 「くも膜下出血急性期の病態形成を制御する炎症性サイトカインの機能解明と治療法の開発」)。その成果として、ある期間ではIL-23欠損マウスのくも膜下出血モデルでは脳浮腫が野生型マウスよりも少ない、という結果を得た。これを踏まえ本研究では、IL-23がくも膜下出血超急性期脳浮腫の増悪に関わる分子機構はどのようなものかを明らかにし、IL-23をターゲットとしたくも膜下出血超急性期の治療法の開発につなげること、を目指している。 本年度も昨年までと同様に、血管内からの穿通法にて作製したマウスくも膜下出血モデルを用いて、静脈内投与されたエバンスブルーの組織内漏出を定量すること浮腫生変化の評価を行った。また、IL-23の中和抗体の脳浮腫に対しての効果を検討するために、野生型マウスくも膜下出血モデルを用いて至適用量を検討した。 今後の方向性としては、くも膜下出血のアポトーシスへの影響が野生型マウスとIL-23欠損マウス群と差異があるのか、神経学的に差異を生じるのか、更には、IL-23の分子機構を解明することを目指している。さらには、マイクロアレイ法で遺伝子発現の差異、マクロファージ、γδ細胞、制御性T細胞などの炎症性細胞の中枢神経系への浸潤や、それを制御するケモカインの発現も、着眼点としていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今までの研究より、IL-23欠損マウスを用いたくも膜下出血モデルでは、脳浮腫が野生型マウスよりも少ないという結果を得ている。これを踏まえ、IL-23の中和抗体が野生型マウスくも膜下出血を軽減させる効果が期待できるものと考えた。IL-23中和抗体の投与設計としては、くも膜下出血発症直後・発症前などのタイミングによる差異、用量の差異、にて検討している。しかしながら現時点までIL-23欠損マウスと同等の効果がIL-23中和抗体群で示されておらず、IL-23中和抗体の投与設計を定めるための条件振りに時間が掛かっており、進捗がやや遅れている。 また、その他、炎症細胞遊走にかかわるある種のケモカイン欠損マウスに対してもくも膜下出血モデルを作成し脳浮腫の差異を検討するなどしている。
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今後の研究の推進方策 |
現在遂行している内容を更に前進させていく。 今後の方向性としては、くも膜下出血のアポトーシスへの影響が野生型マウスとIL-23欠損マウス群と差異があるのか、神経学的に差異を生じるのか、更には、IL-23の分子機構を解明することを目指している。さらには、マイクロアレイ法で遺伝子発現の差異、マクロファージ、γδ細胞、制御性T細胞などの炎症性細胞の中枢神経系への浸潤や、それを制御するケモカインの発現も、着眼点としていく。
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