研究課題/領域番号 |
21K09110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
萬代 秀樹 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10265994)
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研究分担者 |
秋葉 ちひろ 順天堂大学, 医学部, 助教 (40837754)
宮嶋 雅一 順天堂大学, 医学部, 教授 (60200177)
山田 晋也 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (10220378)
中島 円 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50317450)
押尾 晃一 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (90185588)
伊藤 敬孝 順天堂大学, 医学部, 助教 (90365578)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | MRI / T2 / 蛋白濃度 / 認知症 / 蛋白蓄積 / 濃度解析 / T2解析 / 老廃物蓄積 / 高分子体 / 蓄積分布 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症の病態として提唱される神経毒性蛋白の蓄積は、その機構解明が認知症予防および治療法・早期診断法の鍵として注目される。毒性蛋白を含む脳の老廃物(高分子体)は、その排泄障害により脳内に蓄積するとされる。本研究では、独自に開発した脳内の高分子体の濃度を描出するMRI技術を用いて、異なる認知機能を有する患者における高分子体の蓄積分布を可視化し、その定量性を評価するとともに、髄液中の蛋白解析検査との相関等から、本MRI技術の妥当性を評価することを目的とする。本研究の遂行により、認知症における老廃物(高分子体)蓄積の機序解明と低侵襲かつ早期での診断法および治療法の開発基盤となる成果を得られる。
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研究実績の概要 |
前年度に、解析用収集・解析ソフトウェアを当施設MRI室に設置し、稼働を確認した。続いて、T2解析の撮像条件・撮像断面等T2解析用撮像プロトコルの決定を行った。 次に、T2解析の検証のためのファントム実験を実施した。T2解析ではマルチコンポーネント解析法が用いられており、T2値の異なる成分を分離する。その動作検証として、異なるアルブミン濃度を設定した脳脊髄液模擬ファントムを作製し、蛋白濃度の異なる信号成分の混在環境にてT2解析を適用した。結果、所定のT2成分を分離できることを確認し、JSRT2022にて学会発表を行い(筆頭演者:小泉達也「脳内の蛋白濃度分布の可視化を目的としたT2成分分離シークエンスの評価」)、現在論文執筆中である。 今年度は、T2解析法を各種認知症性疾患や健常高齢者等の症例に適用してデータ収集を行った。画像データ収集と同時に、患者基本情報および臨床情報を収集し、紐づけ不可の匿名化処理を行った上で解析している。これまでに122例のデータを収集した。初期の症例での結果はISMRM2022にて学会発表を行った(筆頭演者:押尾晃一「Observing clearance pathway in Alzheimer patients using T2 component analysis」)。 研究責任者および研究分担者・研究協力者にて研究定例会を実施した。当施設で撮像・解析したデータを供覧し、臨床知見に関しディスカッションを重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床データの収集に関し、当初想定していた予定よりやや遅れが生じている。原因として、第一に臨床に使用しているMRI機器を用いて撮影することから、臨床業務に影響しない範囲での撮影時間が限定されること、第二に認知症患者を主な対象とすることから、MRI撮影時の拒否や体動等で撮像困難となる症例があること、第三に前記2つの理由から本撮影条件を適用できる症例が限定されることが挙げられる。 データ収集に遅延が生じたため、解析・考察においても遅れがある。症例は同じ臨床像であっても、それぞれに異なる既往歴や頭蓋内状況を呈するため、定性的・定量的な判断は非常に難しいことが分かってきた。また、現行の認知症性疾患の分類(「アルツハイマー病」、「レビー小体型認知症」等)は病理学的分類に基づくものであるが、生前の病理学的確定診断は得られないことから、疾患定義そのものも不確定要素となっているという問題がある。今後、複雑で多大な情報量をもつ画像データに対し、評価項目や評価尺度を細分化・単純化し、より定性的解析に近づけるべくディスカッションを行っていく必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
データ解析を行い、一定の結論を発表することを第一の目標とする。ただし、現段階では複雑で多大な情報量をもつ画像データに対し、関心領域や、評価項目・評価尺度、病態意義との関連を細分化・単純化し、より定性的解析に近づけるべくディスカッションを行っていく必要がある。
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