研究課題/領域番号 |
21K09112
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
井上 華 東京医科大学, 医学部, 講師 (20390700)
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研究分担者 |
谷藤 章太 東京医科大学, 医学部, 助教 (50529245)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | TRPM7 / mechanical stress / ドメイン間相互作用 / phosphorylation sites / magnesium / 膠芽腫 / マグネシウム / イオンチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
近年、膠芽腫の増殖・遊走にTRPM7が促進的役割を果たすことが報告されている。TRPM7はMg2+/Ca2+透過性のイオンチャネルであると同時にキナーゼ活性を併せ持つユニークな膜タンパク質で、細胞の増殖・遊走を含む様々な細胞機能に関与している。TRPM7の異常な活性化が、膠芽腫の高い増殖能・浸潤能に大きく寄与していると考えられるが、膠芽腫におけるTRPM7活性化の分子機構は不明である。本研究では、膠芽腫におけるTRPM7活性化機構を明らかにし、膠芽腫の新規治療法開拓の学術基盤を形成することを目的とする。
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研究実績の概要 |
膠芽腫を含むいくつかの癌細胞ではTRPM7の発現量の増加および活性の増強が報告されている。TRPM7活性の増加は細胞増殖や遊走を促進するため、TRPM7を阻害する薬剤や遺伝子ノックダウンによる抑制は癌細胞増殖を抑え、治療戦略の一つと捉えられている。 TRPM7はチャネルドメインとキナーゼドメインの2つの機能ドメインから成る分子であるが、我々はチャネルドメインとキナーゼドメインのドメイン間相互作用がチャネル活性を制御することを明らかにし初年度(令和3年度)報告した(Inoue et al., JGP 153, 2021)。膠芽腫においてこのドメイン間相互作用がどのような分子メカニズムによって正に調節されるのかを明らかにするため、キナーゼドメイン内のリン酸サイトにターゲットを絞り、そのphosphomimetic mutantを用いた電気生理学的解析を行った。しかしながらこれらのサイトのリン酸化の有無はドメイン間相互作用に影響しないことが判明した。また、高解像度プロテオミクスにより新たなTRPM7活性調節分子として同定されたArl15に関しても膠芽腫での発現を検討したが、正常細胞に比べ発現の変化を捉えることができなかった。 TRPM7はメカニカルストレスによっても活性化されるメカノセンサーチャネルである。膠芽腫は頭蓋内に形成されるため、メカニカルストレスを受けていると考えられた。そこで、独自に開発した加圧培養システムを用いて培養し、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析を行った。非常に興味深いことに、圧力負荷下でのTRPM7活性化によって、一連の脂質代謝関連酵素の発現が変化していることが分かった。今年度はこの脂質の変化がTRPM7活性にどのような効果をもたらすのか、解析を行い治療ターゲットの開拓につなげる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初に予想していたリン酸化による調節はTRPM7の活性調節に大きな寄与はなかったことが判明したが、計画には予定していなかったトランスクリプトーム解析を取り入れたことによりTRPM7活性の調節機構に関する新たなメカニズムを想起することができ、最終年度に向けて大きな進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
加圧培養した細胞におけるトランスクリプトーム解析から推定された脂質構成(リポクオリティ)の変化について、定量的に解析を行う。そしてそのリポクオリティによってTRPM7の活性がどのように調節されうるのかについて、電気生理学的手法とカルシウム動態解析によって明らかにする。
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